気配
スライムにやられた訳でも、長老に何かされたわけでもない。
環境維持ロボを操ってるはずのキョウが、急に発作のようなものを起こしている……?
――リゾ、キョウがやられたぞ。
と、カースの声が聞こえた。
(環境維持ロボがやられたんだな?)
それしか考えられなかった。
カースは頷いた。
――おや? リゾ君、きみにしては随分冷静だね?
その声に驚くリゾだったが、特にそれを伝えようとは思わなかった。
――実際に体はやられてなくても、結構痛いんだよねぇ。
飄々とした口調で、ケイはつぶやいていた。
――ちなみにキョウ君を壊したクソ忌々しい雑魚は息絶えたよ。本当なら僕がトドメをさしたかったんだけどねぇ……
言いながら、ケイは笑ったようだった。それもすごく残忍な笑い。
ぞっとしたリゾだがそのことにはやはり触れず、ケイにとって大事なことを伝える。
(今、長老が怪我をした。キョウをかばって……)
説明しながら、リゾはキョウを抱き抱え、長老から離れた。
こちらの様子を伺っていた部下たちが長老のそばに寄り、治療に取り掛かる。
リゾは、ケイに場所を教える。
ルウの地より結構外れるが魔脈も通っている場所であり、リゾが水晶を置いたことも話した。
これにより、最高位であればルウの地内の女神像から一瞬でこの場に辿りつけるはずだった。
――手回しがいいね。
(俺はキョウをつれてこの場を離れる。長老たちのことは任せる)
そうして、リゾは会話を打ち切る。
リゾは自分が置いた水晶のところへ行く。
その時だった。
「キョウから離れろ!」
夜の砂漠に、ガイルが立っていたのだ。
* * *
ガイルはなぜかルウの地の外にいた。
変な日だ。
おかしな夢を見続けていたようだ。
寝ぼけていたのかもしれない。
――そんなバカな。
自分で自分にツッコミを入れながら、ルウの地へと帰るべく歩き進む。
ふと、キョウの気配を感じたような気がした。




