帰ってきた男
男は、倒れている男のそばに壊れた環境維持ロボがあるのにも気づいていた。
「リゾくん、君のお姫様が大変なことになってるよ――って、聞こえてないか。今って、それどころじゃないのかな」
壊れた環境維持ロボを、他のロボたちが運んで行く。
部品を運んで修理するはずだが、果たしてあれだけ壊されたものが直せるのだろうか?
「まあ、直すのは僕じゃないけどね……」
にやにや笑っているのかと思えば、男は急に不機嫌な顔になる。
「僕だけじゃなく、他のロボも壊しやがって!」
男は持っていた剣で、倒れている男の頭を突き刺した。
庭の見張りが異変に気付き声をかけようとしたのだが、躊躇していた。
見張りが男の正体を知っていたからだ。
なので別の誰かを呼びに行く。
そんなことにはお構いなく、男は執拗に剣で倒れている男の頭を突き刺している。
栗色の髪の後頭部がばっくり割れたように開いていた――つまり、この倒れている男はアンドロイドだったわけだ。
男は、その割れた頭に手を入れる。
頭の中、探るように手を動かす。
「返してもらうよ」
だが目当てのものは見つからないようで、男は手を動かし続けていた。
「僕がシームァ君の目を治したんだからね、元の目は僕が受け取る権利があるよ」
言いながら引きずり出したもの、――それは青い目だった。
「ケイ様! 何をっ!?」
悲鳴のような声を上げたのは、ミン・ラテーシアだった。
最高位のケイ相手にどう対処すればわからなかった見張りが、呼んできたのだ。
庭に忍び込んだ男の正体はケイだった。
「やあ、ミン君、久しぶり」
ケイはにこやかに告げる。
「僕の愛しの長老はどこだい? こいつにこんな長老の服を着せてどうするつもりだったの?」
「え! アンドロイド!? ……そんなはずは?」
ミンは混乱していた。
「そもそも、僕を暗さ……」
暗殺未遂と言いかけたところで、ケイは口をつぐむ。
そのことを知らない者もいるかもしれない。




