異変
「おい! どうした!」
異変に気付いたのは長老だった。
キョウが目を醒ましたのかと思いきや、体を仰け反らせ、ひっくひっくと震えているようだ。
「おい!」
スライムと防戦している長老は焦る。
キョウの目は開いているものの、どこにも焦点があっていない。
キョウは仰向けの姿勢で震えていた。
「からだ、壊れた、あたま、つぶれた……」
「何を言ってるんだ!」
スライムと防戦している長老には、キョウのことを構う余裕はない。
ひときわ大きなスライムが襲い掛かってきた。
魔法で払いのけると、スライムの中からヒト型のアンドロイドが飛び出してきた。
アンドロイドは手にした武器をキョウに振り下ろす。
普段ならそんなことは絶対しない長老が、この時ばかりはなぜか咄嗟にキョウをかばった。
ヒト型アンドロイドの武器は、長老の腹をばっさり切り付けた。
長老が悲鳴を上げる。
その時だった。
赤い髪の男が突如現れ、剣でアンドロイドをなぎ払う。
倒れたアンドロイドがよろよろ起き上がろうとするが、そうなる前にとどめを刺した。
アンドロイドは倒れ、その場にいたすべてのスライムがぴたりと動きを止めた。
襲い掛かっていたスライムが動かくなり、長老の部下たちは警戒していたが、まったく機能が停止してるのを確認するとほっと安堵するのだった。
「どうやら、こいつが本体だったようだな」
とつぶやいたのは赤い髪の男、リゾだった。
姿を消し、長老たちを見張っていたのだ。
スライムの大群になかなか、キョウに近づけず、ようやくキョウを救出できたのだが……
キョウの状況にどうすべくか懸念していた。
* * *
ラテーシアの庭に男が一人――
暗がりの中、男は倒れている男を見下ろしていた。
「こんなとこにいたんだ……探してたんだよ」
何やらぶつぶつ一人で喋っている。
「ずっと探して、ここにも来ていたのにね、気づけなかったよ」
男は笑っているようだった。




