覚悟
「何故起きぬ!」
エニモスは焦れていた。
そしてビンタしていた自分に、ハッとする。
少しの傷でも大事なのに……
どこかであの男が見てるかも知れない。そんな恐怖が沸き起こる。
「キョウは私が見ている。お前も戦え」
長老の言葉に、エニモスはさっとキョウから離れた。
長老は手の怪我を気にも止めず、キョウを守るかのようしゃがみ込む。
エニモスはアンドロイドに近づく。
いつぞやと同じくスライムタイプのアンドロイドだった。
オズはじめ部下たちは防戦一方でこれといった攻撃を出せずにいた。
エニモスが前に出て杖を構えるのだった。
* * *
地面から魔脈が噴出しているのがわかる。
環境維持ロボのキョウは魔脈を感じつつ、ガイルの気配も感じていた。
魔脈が暴走すると思いもかけないことが起きるのか――? いや、そうじゃなくて、魔脈がキョウの願いに応じてくれている。そんな気がした
ガイルは霧の中でうずくまっていた。
――これ、ガイルの夢の中?
キョウは直感していた。
魔脈から噴き出した力がキョウをガイルの夢の中に導いてくれたのだ。
「ガイル」
キョウが声を掛けたが、ガイルは無反応だ。
「ガイル。ガイルってば」
ガイルの体を揺すぶってみる。
ガイルは顔を上げた。
「キョウ、本当に来た」
「?」
「覚悟は出来てる!」
ガイルはキョウの手を握った。
「俺の魂をやる。だから食べてくれ」
「えぇっ!?」
キョウは、ガイルが何を言ってるかわからなかった。
「ガイル、何、言ってんだよ?」
「キョウ、体調が悪いんだろう。助けるには魂を喰わせてやればいいって……」
「ガイル?」
――ガイルの魂はきっと美味しいだろうな。
そんな考えがよぎり、キョウは自分にぞっとした。
「バカなこと言うなよ」
キョウはガイルの手を離す。
「ガイルがいなくなったら……」
「いいんだ、俺は……」
これ以上、聞いてはいけない。
もしかしたら、本当に魂を食べてしまうかもしれない。




