別人
意識がはっきりしているキョウの目にガイルが見えた。
――こんな時間にこんなとこで何してるんだろう?
キョウはガイルの方へ進む。
――おーい、ガイル。
だが、ガイルはキョウのことなど気にも止めていないようで、黙々歩いている。
――ガイル、ガイルってば!
そこで、今の自分が環境維持ロボなのを思い出した。
この状態でどれだけ大声出しても、ガイルには通じない。
キョウはガイルのズボンの裾をつかんだ。
ガイルは振り返り、キョウのことを見下ろす。
その顔を見て、キョウははっとした。
――ガイルじゃない……?
そんなことあり得るのだろうか?
姿形はそっくりそのままなのに、別人だなんて。
キョウはズボンの裾を離す。
すると、ガイルそっくりな人物はさっと前を向き直り行ってしまう。
キョウはガイルそっくりな人物が気にはなったが、それ以上にガイルの方が気になった。
キョウはなぜか大急ぎでガイルを探しに行くのだった。
*
水が沸き上がり歓声を上げる長老たち。
長老は水に手を入れ、本物の水であることを確認する。
満面の笑みだった。
そこに油断がなかったといえば、嘘になる。
浮かれ切った長老はすっかり油断していた。
それは部下たちにも言えた。
水に手を入れた長老が悲鳴を上げた。
アンドロイドだった。
砂の中に潜んでいたのが、湧き出た水脈とともに出た魔脈の影響で狂暴化したのだろう。
「アンドロイドを倒せ!」
手を怪我した長老が叫ぶ。
オズはじめ何人かが臨戦態勢に入る。
「お前も戦え!」
長老はエニモスにそう指示を出した。
だが、エニモスは聞いてなかった。
「起きろ! 起きるのじゃ!」
エニモスは必死にキョウ・テセティアに呼びかけている。
体を揺さぶろうが、頬を叩こうがびくともしない。
キョウはずっと眠りこけていた。
エニモスは尚もビンタする。
先ほどの奇妙な男にキョウを傷つければ殺す、その言葉が残っていた。




