入れ替わる
「お…おい! 何を?」
部下は、慌ててガイルとシヴァの間に入る。
「隊長、これはですね……」
言い訳しようとするが、何も言い出せず。
固まっていると、ガイルは意外にもそっとシヴァを横たえさせるのだ。
「もう大丈夫。ゆっくり休んで。――邪魔したな、もう用は済んだ」
と、ガイルは部屋から出て行った。
シヴァはといえば、ぼんやり天井を眺めていた。
そういえばシヴァは具合が悪いらしい。そっとしておこうと部下も部屋から出た。
シヴァがガイルに邪眼の類いでもかけたのだろうか?
とりあえず、バレなかったのは幸いだった。
*
環境維持ロボのキョウはラテーシアの庭を通りかかる。
ルウの地全体から魔脈が噴き出しているが、ここは特に強く感じる。
ここなら、簡単に水を湧かせることができそう……
キョウはリアルにそんな光景を想像してみた。
――もし、そうなら、一大事になるな。
ラテーシア家の庭に泉が湧いたりしたら、人々は大慌てだろう。
ここに水脈を湧かせる訳にはいかないな、とキョウは庭を通り過ぎる。
ふと、ガイルはいるかなと立ち止まる。今日はいないようだ。
なんとなく、いるような気配は感じるが、この家にいるのだから気配があっても不思議ではない。
なんか、変な感じもした。
微動だにせず、眠ってるような感じでもない。
まあ、離れた相手の気配を感じるほど敏感でもないし、気のせいだろう。
キョウはまた出発するのだった。
*
長老の手を握った途端、ガイルの視界は急変した。
壁や天井の色が変わる。
人がうねうね見える。
ぞっとしたが、体が動かせなかった。
「もう大丈夫。ゆっくり休んで」
と言ったのは誰だったか。
長老のはずだが、顔がよくわからない。
いるはずの部下に何か言おうと思ったが、声は出なかった。
呼吸が上手くできない。
このままここにいればいいのだろうか?
気味の悪い世界に包まれたまま、ガイルはぼんやり横たわっていた。




