かわいい子
「こんな女の子、いたかな?」
長老は懐かしそうに目を細めているが……?
「長老?」
ガイルは違和感を覚えた。
長老がその子のことを知らないはずがないのだ。
長い金髪をキラキラした髪飾りで飾っているその姿は、一見すると女の子のようだが……
「……そうだそうだ、この子はキョウだったな。こんなにかわいらしい子だったか」
その言葉に、ガイルは強く同意する。
長老はその写真を見つめ、何か考え込んでるようでもある。
「きれいな髪だ。これなら、女神ルウの生まれ変わりというのも頷ける」
「は?」
ガイルは長老をまじまじと見る。
確かに、ここルウの地内でそういう噂があるにはあった。
だが、それを真っ向から否定していたのは他ならぬ長老だったのだ。
なので、ガイルはそれをそのまま口にしていた。
それを聞いて、長老は息を飲んだ。かと思えば取り繕うようにふうっとため息をつく。
「そうだったな」
と、長老は今度は大げさに考え込む仕草を見せた。
「……嫉妬だろうな?」
「長老……」
この時のガイルは、言い方はおかしいが感動していた。
どちらかといえば、キョウに対して否定的な態度だった長老が、実は一目置いてたということに。
「こんな子の魔力の嫉妬なんかして、恥ずべき人間だった」
と長老は独り言のように語る。
「それにしても、こんなきれいな金の髪を失うなんて、惜しいことをしたな」
どこか他人事のような感想を、長老はつぶやいていた。
その言葉についガイルは感情的になる。
「何を言っている!長老!?」
そんなガイルを長老はぽかんと見ている。
「ファウが攫われた時、犯人のメッセージを意図的に伏せさせたのは他ならぬ長老じゃないか!」
「………」
「せめてキョウ本人にそのことを知らせていれば、こんなことにならなかったかもしれないのに……!」
怒りと後悔でいっぱいになるガイルだった。