一息
「キョウ兄ちゃ~ん! 起きてる~?」
子どもの声だった。
ネードは、ほっと気が抜ける。
「あぁ、起きてるよ。どうした?」
ドアの前でネードが返事した。
「はちみつ生姜持って来たよ。これ飲んで元気出して」
「ありがとう。そこに置いといて」
返事はなかった。
どうやら、返事は待たず置いてそのまま帰ったようだ。
数分経ち、人の気配がなく窓から見える位置に誰もいないので、ネードはドアを開ける。
子どもがいたので、ぎょっとした。
「どうした? うつるかも知れないから、近づかないでって言ったのに」
子どもは瓶に入ったはちみつ生姜をネードに差し出す。
ネードは、心底、キョウに変化していてよかったと思った。
「うん。だけど、これ飲めば風邪もすぐ治るよ」
「……風邪とは言ってないんだけど」
ぼやきつつ、ネードは瓶を受け取る。
「あと、必要なものとかない?」
「大丈夫だよ。うつしたら悪いから、早く帰りな」
そういうと、子どもは心配そうに後ろを振り返りながら帰って行く。
子どもが帰ると、ネードはほっと緊張がとける。
鍵をかけた家の中で、甘いはちみつ生姜で一息つくのだった
* * *
ほぼ同じ頃――
ネードと同じように、長老に雇われたエニモスは杖を振り回し、スライムと戦っていた。
以前倒したスライムの仲間だろうか?
スライムを仲間を呼ぶのだという。
連続でやって来るスライムに息をつく暇もなかった。
元々の依頼は砂漠の地に魔法で水を湧かせることだったが、長老の満足する水を湧かせることは出来なかった。
なので、かつて水脈を開いたというキョウに水を湧かせるのだという。エニモスはそのサポートをすることになった。
その結果、スライムと戦っている。
肝心のキョウといえば、眠ってるかのように横たわったままだ。
本人が言うには、女神ルウと交信中なのだとか。
どこに水脈があるか女神ルウと相談してみるのだという。
その状況はエニモスがスライムを倒し終えても、続いていた。




