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「ルウの地に入れないからな、だから、外に水脈を作るんだ」
「入れないってどうして?」
「……どうしてもだ」
キョウにとってはちんぷんかんぷんだ。ルウ族の長老がルウの地に入れない?
しかも、その理由は明かせない?
やむにやまれぬ事情があるのだろう。
キョウは、なんとか自分なりに納得しようとするのだ。
「病気のフリをしてたのもそのせい?」
「病気のフリなんかしてない! 勝手にそうされたんだ」
不満そうな長老の物言いに、キョウはまたも首を傾げる。
「今日はもう休みましょう」
と、オズが話を打ち切った。
それをきっかけに、今日はもうみんな休むことにするのだった。
* * *
その様子をリゾが見ていた。
リゾは最高位たちに、長老がキョウを誘拐したことを伝える。
最高位同士は離れた場所にいても、テレパシーのようなもので互いの意思を伝えることが出来るのだ。
――あいつ、やっぱり殺しておくんだった。
物騒なことを言い出したのは、ロイだ。
(おいおい、滅多なことを言うな)
リゾがたしなめる。
女神ルウの加護を受け常人離れした能力を授けられた最高位たちは、ルウの民を護るのが使命だ。
そんな最高位がルウの民を殺すなんて、とんでもない。
――場所は? 助けに行くぞ!
血気盛んなのはグレス。
(キョウがまかせてほしいと言った)
リゾが冷静なのが、ロイには意外だった。
キョウの危機だから、慌てているかと思ったのだ。
――じゃあ、黙って見てるのか?
(今はそうしよう)
カースは絶句していた。
度々ラテーシア家を張っていたのだが、長老がいつの間にか脱出してルウの地の外にいたとは……。
ラテーシア家が長老の隠密行動を支持していたのだろうか?
ミンの様子からして、それは考えにくい。
――ラテーシア家の方は俺が見張っておく。何かわかれば知らせる。
カースの提案に三人は頷く。




