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月色の砂漠~新最高位誕生編~  作者: チク


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ワイヤ


 エニモスは震えながら、ネードの体を必死に押さえる。


 ネードは切られた腕の痛みを感じないのに気づいた。大男はネードの肘に、切った腕を押し付け、何やら詠唱している。

 魔法で腕を繋げようとしているのはわかった。


 その様は神々しいとか奇跡的とかそういうイイモノではなかった。

 腕の中をムズムズ、虫か何かが這い回るような感覚。


 虫唾が走るような感覚の中、ネードはまた気を失う。



――痛い思いさせてごめん。でも悪いやつじゃないんだ……


 そんな声が聞こえたような気がした。




     * * *


 時間は多少前後する。



 充分に動けるようになったリゾは、ネードの袖からワイヤを引き出した。


 ワイヤとは対アンドロイド用の武器で、形状は鞭に近い。

 ワイヤをそれこそ鞭のように操り、数人を縛り付ける。


 魔法で電流のような刺激を与えることが出来るようで、リゾは試しにやってみた。

 数人の男たちは悲鳴を上げたので、効果はあるようだ。



「お前ら、動くなよ。動けば命はない」

 リゾが睨みを効かすと、効果はあったようで全員固まったように動かなかった。


「そこの女、その男を押さえてろ」

 言われるまま、エニモスはネードの体を押さえる。




 そうして、ネードの腕を治したリゾだった。


 いや、それはリゾ一人の力ではなかった。

 環境維持ロボを操るキョウは魔法が使えるようになっていた。

 リゾとキョウは二人で力を合わせて、ネードの腕を治していた。


 意識を失っているから確認はできないが、ネードはもう間違いなく動かせるはずだ。


(これでいいんだな?)

 リゾの問いかけにキョウは頷く。

(まかせていいんだな)


――うん、なんとかする!

 この時のキョウは、病気の長老を魔法で治すことを考えていた。

 環境維持ロボを操っているこの状態なら、以前の自分より魔法が強くなってる。

 ラテーシアお抱えの魔法使いと医者もいるこの状況なら、どうにか出来そうだと思っていた。


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