語彙力
ネードは痛みで悶絶する。
「あぁ、語彙力が乏しくてすまん」
大男は、そんなネードを見下ろしていた。
「俺はその男を助けるためならお前ら皆殺しに出来ると言ったんだ」
大男は剣を構える。
その言葉通り、皆殺しにするに違いない。
その場にいた全員がそう感じ、恐怖していた――。
* * *
――やり過ぎ!
その声を聞いて、大男こと、リゾの動きが止まった。
見れば、リゾのそばに環境維持ロボが一台来ていた。
(無事だったか?)
リゾの問いに、環境維持ロボは水晶を金色に光らせ頷いた。
リゾはほっとしつつ、気絶したキョウを見た。
気絶ではなく、環境維持ロボにキョウの魂が乗り移っていたのだ。
キョウも自分の肉体を見て、ほっとする。
いつぞやみたいに目を開いたままだったらどうしよう? そんな心配をしていた。
結局は杞憂だったので、リゾに話しを戻す。
――腕を切り落とすなんて、どう考えてもやりすぎだよ!
確かにその通りだ、とリゾは思った。
キョウを気絶させられたと思い込み、冷静な判断が出来なくなっていたせいもあるが……
リゾは先ほどまで環境維持ロボを操っていた。
キョウが気絶させられたのを目撃し、急いで自分の肉体に戻り、例の水晶で瞬間移動して来たのだが。
環境維持ロボを操った後、リゾは体が上手く動かせないことが多々ある。
今のリゾがまさにそれだった。
そんな弱点に気づかれる前にケリをつけたかったのだ。
それともう一つ。
他の者たちは、気絶したキョウに意識が行ってたのに対し、この男はキョウの家の中を見ていた。
例の水晶の存在に気づいたのではないか、それならこの男に考えさせないようにしようという意図もあった。
だが、リゾはキョウに自分の弱点を語るつもりはなかった。
(どうだかな? そいつは袖に武器を隠していただろう?)
腕を切り落とした合理的な理由を述べる。
男は袖からワイヤを引っ張り出していたのだ。




