神妙
「まあ、今だけだ。肉体は健康でも、魂を喰われたんだ。まず魔力を失い、次に意識を失い、体も動かなくなる……」
ガイルはぞっとした。
体が動かなくなる――パースがまさにそんな話をしていたのだ。
ガイルの表情を長老は見逃さなかった。
「もう兆候が出てるのかも知れんな……」
「体が動かなく……? いやいや、それはちょっと疲れてただけみたいだし!」
ガイルは不安を打ち消すように否定してはみるが、はっと思い出す。
「……もしかして、邪眼にかからなくなったのも、そのせいか?」
と、ガイルがつぶやく
長老は考えるそぶりを見せた後、大きく頷く。
「その症状が出たという事は、もう……」
「そんな! だって……? 一体……??」
ガイルは激しく動揺していた。
助ける方法はある、と長老が囁く。
「とても、簡単だ」
その方法は長老はガイルに話す――
* * *
それから、数日経って――
ストラップを予定の数を作り終えたキョウは、テーブルで肘をつきぼんやりしていた。
仕事を終えてすっきりしているはずが、どこかもやもやしていた。
そういえば、昨日、ガイルが来ていた。
なんだか、よそよそしかった気がする。
近いうちにこの近所に駐屯所を建てるということで、騒音等の迷惑をかけるかもしれないという挨拶だった。
わざわざいいのにと固辞したが、いつぞやのガイルに渡したタオルの代わりに新品のタオル数枚とお菓子の詰め合わせを貰った。
甘い物好きなキョウはほくほく顔で受け取った。
だが、ガイルは神妙な顔のまま、帰って行った。
駐屯所の計画と、あとは長老のことで頭がいっぱいなのだろう。
環境維持ロボになって、ルウの地中央の方へ行ってみよう。
キョウは意識を集中させる。
もやもやした感覚が強くなったような気がした。
はっと、目を開け、辺りを見回す。
そこは間違いなく自分の家なのだが、そうじゃないような気配のような感覚のようなものが……




