アルバム
そんなことを思っていると、不意に大きな腕の感触がなくなる。
「ガイル?」
確かにあったガイルの感触とか気配が、唐突に消えてしまった。
キョウは辺りを見回す。
丸いはずの月が、三日月に変わっていた。
そのまま月は欠き消え、辺りは暗闇に包まれる。
目の前のガイルもいない。
キョウは一人、その場にぽつんといた。
「ガイル?」
キョウは呆然となった。
「ガイル? ガイル……」
だが、それに答える者はいない。
このままガイルがいなくなってしまうんじゃないか、何故かそんな焦りがあった。
キョウはガイルの名前を呼び続けていた――
* * *
「ガイル?」
ガイルを呼んでいるのは、しわがれた声。
意外に思いつつ、ガイルは目が醒めた。
目が醒めたガイルはついキョウの姿を探してしまう。
キョウの姿はなく、さっきまでのはやはり夢だったかと少し残念に思う。
あんなにキョウと抱擁していたのに……。
でも、まあ、夢でよかった。
気持ちを打ち明けすにいようと思っていたのに、それが夢だと気づいた途端、自分の気持ちに歯止めがきかなかった。
「好きだ」と言われたキョウは困った顔だった。
それでも真剣に返事を考えているようだったのだ。
その様子がなんだかいじらしくて、可愛らしくも小さくも感じた。
かつての髪を取り戻した姿は本当にきれいだったと思ってしまった自分を戒めないと、とガイルは思った。
「ガイル?」
心配そうに名前を呼んでいるのはキョウではなく――。
しわがれた声の持ち主は長老だった。
近頃の長老は喉の調子が悪いらしい。
そこは長老の部屋だった。
ガイルと長老はソファに横並びに座り、アルバムを見ていた。
二人の関係は叔父と甥だ。
アルバムを見ながら思い出話しをしても不思議ではなかった。あくまで長老が重罪人でなければだが。
「なんだか疲れているようだな? 付き合わせてしまって申し訳ない」




