持病
その誤解には慣れっこだったが、ガイルの姉であるミンがキョウに惚れているというのは始めて聞いた。
「ミンがキョウに惚れてる? 何の話だ?」
ミンが好きなのはキョウではなくクスナだと思うが、確証はない。
ここで喋るわけもないし、本人も打ち明けるつもりもないだろう。
「あれ? 違う? 前にキョウに邪眼を掛けようとしてたから、てっきり……」
そういえばそんなこともあったな、とガイルは思う。
結局、その件に関してはよくわからないままだ。
「そうか、俺の勘違いか。――そういえば、キョウって何か持病とかあったりする?」
「ん!?」
聞き捨てならない言葉だった。
「いや何だか本人には聞きづらくて……。前に、眠ってるわけでもないのに固まったように動かないことがあって…… まあ、あれは一回こっきりだったから疲れとかかも知れないけど?」
「最近の話か?」
「あぁ」
パースは頷く。
まあ、働き過ぎなんだろうな、という結論に至りパースは帰って行った。
固まったように動かない?
それは、長老が言っていた『魂が喰われてる』のと関係があったりするのだろうか?
その時、体がひんやりするのを感じた。
気のせいだろうか。泉からの吹いて来た風が意外に冷たかった。
いや、体が冷えたのは風のせいだけではない。なんだか、胸騒ぎがするガイルだった。
* * *
オズ・ラテーシアとは有能な男だ。
ネードはそう思っていた。
オズは、今、ルウの地の外で長老とともに水脈を開くため奮闘していた。
だが、夜には一旦ラテーシアの屋敷に戻っていた。
長老はシヴァが変化魔法で成りすましてはいても、その部下がいなくては不自然だ。
部下たちは交替でアリバイを作りながら、屋敷に戻ったり、水脈を堀りに行ったりを繰り返していた。
それらを成しえているのは、オズのスケジューリング管理もさることながら、その体力がズバ抜けているからこそだ。
パースが見た、キョウが固まったように動かない状況は、キョウが環境維持ロボを操ってる状態の時にそうなってしまっていたのです。
月色の砂漠~帰ってきた行商~ 『邪眼』参照。
その後、キョウは自分のその状況に気づき克服します。
月色の砂漠~長老の野望~ 前半参照。
月色の砂漠~ガイルの事情~ 『あれをやる』『三人の秘密』参照。
まだ読んでない方は是非!




