立場
「まあ、確かに見事な出来だな」
唐突にキョウの名前が出てどきりとしたが、ガイルは平静に振舞う。
「キョウ的には、こっちのがいいって言うんだ」
と、パースはもう一つを指さす。
それは環境維持ロボがモチーフになったストラップだった。
円筒形の形で、ずんぐりした形が、愛嬌よくも思えた。
「まあ、手のひらサイズなら、こっちの丸い方が持ちやすいし使いやすいだろうな」
ガイルはそんなことを言った。
「そうか。キョウと同じ意見か……」
パースは半信半疑のような、何か考え込んでるようだ。
「俺としては女神ルウのモチーフの方がルウの地っぽくていいような気がするんだが?」
キョウと同じ意見というのがひそかに嬉しいガイルだった。
女神像を見つつ、パースは何か満足したようで、
「うん、ありがとう、参考にする」
「お役に立てたようで……」
立ち去りかけたパースだが、ふと思い出したようにまた口を開く。
「そういえば、長老は大丈夫なのか?」
「あ、あぁ、まあ……」
表向きには長老は病で休養中ということにしてある。
要人二人を暗殺未遂したことを隠すための口実だったはずが、皮肉なもので最近の長老は本当に病気になってしまった。
ガイルのにごした言い方に、パースは悲痛そうな顔つきで頷いた。適当に解釈してくれたようだ。
「隊長殿も難しい立場で大変そうだけど、まあ、気を落とさずに」
難しい立場という言葉にぎょっとした。
まさか、長老のやらかした事を知ってるのかと思わず身構える。
「ファウ隊長がキョウと付き合い出したり、ミン殿がキョウに惚れてたり、ややこしい立場で……」
同情するかのように、パースはガイルの肩を叩いた。
一番隊隊長のガイルと二番隊隊長のファウと付き合ってたとかいう噂は前からあり、それで落ち込んでるとでも誤解されているのだろう。




