不審
そんなパースがキョウの家に入り浸ってるなんて……
いら立ちにも怒りにも似た感情がわきあがる。
嫉妬も入り混じっていることに、ガイルは気づいていた。
パースという人物は口癖のように『運命の相手』とのたまい、男女いけるバイセクシャルだとも公言している。
そんなパースがキョウの家に入り浸っている。
いや、そういう関係でないのはわかってはいるが……。
*
頭を冷やそうと、ガイルは散歩に出た。
月明かりの下、自分の家の周りをぐるっと歩き、泉の方へと行ってみる。
夜にも関わらず、いつものようにあいかわらずの環境維持ロボとすれ違う。
キョウが環境維持ロボを操れるというのを知った時は驚いた。
呪いのかかったガイルの傷を治したんだから、そんじょそこらの魔法使いなんかより強い魔法だ。
長老は、魂を喰われてると言ってたが、あれだけの魔法が使えるのなら心配いらないんじゃないか、とも思う。
部下からの報告では健康そうだと言ってたし……。
そんなことを考えながら歩いていると、パースにばったり出会った。
不審に思う相手にこんなとこでばったり出会うとは……。思わずガイルは苦笑いをしてしまう。
その不審に思っていた相手は、行動も不審だった。
パースは女神像を見上げ、何か手元を見ている。
そして、また女神像を見つめ、また手元を見ていた。
その奇妙な行動の後、パースはガイルに気づいた。
「これはこれはガイル隊長。見回りご苦労様です」
見回りじゃなく頭を冷やすために出歩いてるのだが、わざわざ訂正することもなかった。
「ここで何を?」
ガイルが尋ねると、パースは手の中に持ってる物を見せた。
「これ、いい出来だろ?」
パースが持ってたのは、ストラップらしきものが二つ。
そのうち、一つをパースは指さす。
「キョウが作った試作品なんだけど、キョウはこれじゃないって言うんだ」
ルウの民なら誰でも知ってる女神ルウがモチーフのようだ。




