寝床
「今日はここまでじゃ……」
と、エニモスは作業をやめ、持参のテントを広げはじめた。
「お、おい……」
文句を言いそうになった長老をオズが止めた。
「朝からずっと頑張ってたんですよ。あとは明日にしましょう」
「菓子ばっかり食べてただろうが!」
「あんなのただの軽食ですよ?」
確かに、エニモスは休憩を取ったり軽食を口につまんでり水分を補給していた。
だが、炎天下の下、その程度は必要範囲のこととオズには思える。
そんなオズに、エニモスは振り返り微笑する。
「早く終わりたかったら、この魔法陣がアンドロイドに荒らされないように見張っておくことじゃ」
そういうと、エニモスは出来上がったテントに入ってしまう。
「おい! 待て!」
「やめて下さい。レディの寝床ですよ……」
長老はテントを叩き文句を言おうとしたが、弾き飛ばされた。
結界のようなものが張ってあるようだ。
「……っ!!」
テントを睨みつけていた長老だが……。
これ以上作業を進めるのは無理と判断し、夜通し交代で見張るように部下たちに命令する。
そうして、自分は寝袋でふて寝をするのだった。
こんな長老ではあるのだが、オズはじめ長老の部下たちはその無謀な計画に賛同していた。
彼らはどこまでも従順な部下たちだった。
* * *
夜――。
ガイルは部下からの報告に眉をひそめていた。
キョウは健康そうで、どこも悪くなさそうだという。
午前は近所の子どもたちに剣を教え、午後は行商のパースが家に入り浸っていたのだという。
今の長老本人は記憶がないなどと言っているが、長老に毒や呪い関連の書籍や道具を売ったのは、行商のパースで間違いないあろう。
だが、その件は極秘でありこのままなかったことにするわけで、パースを取り調べるなんてことは出来ない。
パースがいなければ、長老はそんな大胆な犯行なんて起こさなかったはずだ。




