かくれんぼ
* * *
その日、子どものガイルは金色の髪の後ろ姿を見つけた。
――あの子だ!
場所はガイルの家の庭。
その子の名前は当然ながら知っている。キョウだ。
キョウは金髪の長い髪を揺らしながら、誰かと手を繋いで走ってる。
思わず、ガイルは追いかけていた。
物陰に入り込み、じっと二人並んでしゃがんでいた。
「何してんの?」
ガイルが声をかけると、慌てて二人は振り返る。
「なんだ、ガイル、脅かすなよ」
と、答えたのはダーリャだ。
ダーリャはファウの従弟だ。
ガイルはふつと怒りを覚えた。
女のファウがキョウと手を繋ぐならわかるが、どうして男のダーリャが手を繋いでるのか――。
そうしてる今も、ダーリャはしっかりと手を繋いだままだ。
「ここ、俺ん家なんだけど」
怒り混じりにそんなことを言う。
「今ね、王子様とお姫様と悪者ごっこをしていたんだ」
と、キョウがひそひそ声で言う。
「お姫様?」
言われてみれば、この日のキョウはひらひらした女の子らしい恰好をしていた。
いつもは男の子が着てもおかしくないような恰好なのに。
「そういう恰好もいいじゃん」
父親であるユーテムは女の子の服がわかってないんだろう、とこの時のガイルは思っていた。
褒められて嬉しいのか、キョウはにこにこ顔になった。
そんなキョウは、ガイルにしてみればめちゃくちゃかわいい女の子だった。
「これ、ファウから借りたんだ」
キョウにしてみれば、好きな子の服を着れて機嫌がよかったわけだ。
ガイルは、キョウが女の子だからこそかわいい服を着れて嬉しいんだと思った。
「毎日、そういう恰好すればいいのに……」
「……見つけたぞ、王子ーーー!」
ガイルが言い終わる前に、ファウが乱入してきた。
「うわあぁーーー!」
ダーリャは一目散に逃げだした。
「待て、王子! 決闘……」
ファウは追いかけようとしたが、キョウを置いて行くわけにもいかず。
「……ちっ! 悪者は嫌だって言うから王子役にしてやったのに。悪者と王子が戦って、勝ったほうが次の王子でまた逃げるはずだったのに……」
要は決闘付きのかくれんぼだったらしい。




