失言その2
シヴァにとってみれば、例え好意的な動機じゃないにしても、自分の事情を知る唯一の味方だ。
そんな相手と少しでも距離を縮めておいて、損はないと思った。
「ねえ? ネードはどうして男のフリをしているの?」
「………!?」
ネードの動きがぴたりと止まった。
シヴァにしてみれば、他愛もない会話のつもりだった。
ネードは短髪をオールバックに整えている。
今は夜ということもあり、ラフな感じになっている。
加えて、口ひげを生やしていることもあり、外見だけは完璧に男だ。
「そのひげ、ノリで付けてて痒いんでしょ?」
毎回毎回つけるの手間だよねー、なんてシヴァは呑気な口調で続ける。
ネードが返事しないので、シヴァは会話がひと段落ついたと思った。
シヴァはアルバムのページをめくり、他にキョウの写真がないか探してみる。
「……いつ気づいた?」
ネードが、そんなシヴァをじろっと睨む。
「初めて会った時」
シヴァが奪った目は温度が見える。
服の下を透視する事こそできないが、温度で体のラインはわかる。
男女の違いを見抜くのは簡単だった。
「この地では女装や男装の風習でもあるの?」
シヴァは、そこで、ようやくネードが自分を睨みつけているのに気づいた。
「いや、気に障ったなら謝る。ネードにそこまで興味はないよ」
シヴァはどうしたものか悩み、また失言してしまったことに気づいた。
目の前の人物に興味ない、というのもなかなか失礼な発言だ。
そこで、ふとした疑問が浮かぶ。
「このこと、みんなは知ってるんだよね?」
みんな、というのは長老とその部下たちを指している。
「いいや、このことは秘密だ」
「え? だって、ネードは長老の部下でしょ? 長老にバレないわけなんてないし、なんで秘密にしているの?」
それを聞いて、ネードはふうとため息をついた。




