アナスタシア
「転校生を紹介します」
担任の先生が突然言い出した。
そして転校生が入ってきた。
その女の子はプラチナの如き髪をした美少女であった。
「アナスタシア・ミーシャさんです。みんな仲良くしてください」
アナスタシアが席に着くと、皆がアナスタシアの周りに集まった。
しかし……。
「#&%$#%#」
アナスタシアが何を言っているのかわからないのである。
皆が困った顔をし、アナスタシアも困った顔をする。
「最上君。アナスタシアさんの言ってることわかる」
氷見が文人に聞く。
「ああ。わかる」
「じゃあ、行ってきなさい」
「目立ちたくないんだけど……」
「困っている美少女をほっとく薄情な人なの最上君は?」
文人は渋々アナスタシアに近付く。
『ようこそアナスタシアさん。歓迎するよ』
文人の声にアナスタシアが驚く。
『あなたディロス語わかるんですか!?』
『まあ、日常会話に不自由しない位にはね』
『小国のマイナー言語だからわからないと思ってました』
『まあ、分からない人がほとんどだろうね』
『そういえば名前は何ですか?』
『最上文人です。これからよろしく』
『私もこれからよろしくお願いします』
文人が会話を終えると皆が文人に集まってきた。
「最上!。あの言語は何なんだ?」
「ディロス語。北欧にある小国ディロス王国で使われてる言語だよ」
「なんで喋れるんだよ?」
「勉強したから」
「一体何を話したんだよ?」
「普通に挨拶をしただけだよ」
ああ。やっぱり面倒なことになったなと文人は思った。
お昼休み
『お昼一緒にいいですか?』
アナスタシアが文人に話しかけてきた。
文人は断る理由もないので承諾した。
「お昼一緒にいいかしら?」
氷見も聞いてきた。
花音は不機嫌そうな顔をしたが、断るのも問題になると思い、承知した。
『あの最上さん。お願いがあるのですが』
『何?』
『勉強を教えていただけないでしょうか。日本語がわからないので』
『いいですよ。それじゃ放課後図書室で』
文人はアナスタシアに勉強を教える約束をした。
「文人、何話してんの?」
花音が不機嫌に聞いてくる。
「アナスタシアさんに勉強を教えることになってな。
花音も参加するか?」
「あ、文人が教えてくれるなら参加したい」
「私も参加するわ」
「じゃ、放課後図書室でな」
こんな感じでお昼は過ぎていった。
放課後。
文人はアナスタシア達に勉強を教えていた。
ちなみにアナスタシアからはアーニャと呼んで下さいと言われたため、
アーニャと呼ぶことになった。
花音もアーニャも苦戦していた。
花音は教科そのものがわからず、アーニャは日本語がわからないのがネックだった。
それでも文人の技能と粘り強さで何とかある程度は進んだ。
「それじゃ今日はここまでだ」
「うう、やっと終わった……」
『しんどいです……』
「仕方ないわね」
氷見はため息をこぼした。
「まあ、ある程度は進んだから良しとしよう」
文人がそういうと皆が帰り支度を始めた。
『アーニャは日本語を覚えた方がいいな』
『そうですか……』
『ああ。出来る限り俺が教えるよ』
『よろしくお願いします』
「ダメだ。二人が何を話してるかわからない」
「私はこの後本屋に寄って、ディロス語の本を探してくるわ」
氷見がディロス語を習得しようとする。
IQ200の彼女なら習得するだろう。
「それじゃここで解散するか」
「んじゃまた明日な」
「花音、また明日」
「それじゃ私も行くわ」
「さよなら鏡花」
『それじゃ文人さん。さようなら』
『アーニャもまた明日』
解散した後、文人も家に帰っていった。