プロローグ
「突然ですが異世界の魔王を倒してください!」
「は?」
最上文人は白い空間にいたと思ったら、
突然目の前の天使からそんなことを言われた。
「もちろん特典はつけます!。いってらっしゃい!」
拒否の言葉も言えず、文人は光に包まれた。
「はっ!?」
文人は目を覚ました。そして辺りを見回す。
それはいつもの見慣れた自分の部屋であった。
「夢か……」
まあ、そうだよねうん。
「ステータス!。なんて……」
文人がそう言うと空中に画面が表示された。
最上文人
LV:36
技能:完全理解
武器:流体変化金属
「……出ちゃったよ」
明日は高校の入学式だし、早く寝なおそう。
ステータスに関しては明日調べよう。
文人はベッドに横になって眠りに入った。
異世界のことは……天使が何とかするだろ。
「……完全理解ねえ」
文人は結局早くに起きてしまい、ステータスを確認する。
ステータスは色々としてみたら詳細が出た。
完全理解:対象の全てを理解する。
流体変化金属:様々な形状に変化する。
そのまんまである。
「色々と試してみるか」
文人は学校から送られた数学の教科書を取り出した。
「推測が当たっているなら……」
文人は教科書を読み始めた。
……わかる。文人は教科書を読み進める。
書いた人間の意図が、問題の答えが、この教科書のあらゆることがわかる。
そして文人は教科書を読み終えた。
「凄い……」
文人はため息を漏らした。
この教科書の内容を完璧に理解できた。
ピロン♪
『高校数学(初級)』を覚えました。
軽い音色と共にお知らせが出た。
なるほどこうなるのかと文人は思った。
「じゃあ他の本はどうだ?」
文人は本棚から埃を被っていたボクシングの本を取り出し読み始める。
そして本を読み終えると、さっきと同じ表示が出たので、実践してみることにした。
ジャブ、足さばき……完璧に再現できた。
文人は段々面白くなってきた。
「じゃあこれはどうだ?」
文人は般若心経を読み始めた。
そして読み終えると『悟り』が表示された。
その時文人は身体に違和感を感じた。
気になって悟りの詳細を表示する。
悟り:数秒先の未来を視ることが出来る。
……未来視獲得しちゃったよ。
流体変化金属や、もっと能力を調べたかったが時間切れであった。
下から母親の起こす声が聞こえたからである。
続きは帰ってからだなと思い、文人は下へ向かった。
「おはよう母さ……」
文人の声が止まる。
文人の母親の情報が表示されたのである。
詳細があったので、それを頭の中で選ぶと、
母親の詳細な個人情報が出たのである。
個人情報筒抜けじゃないか!
「どうしたの文人?」
「いや、何でもないよ」
どうやらこの完全理解。悪用したらとんでもないことになるなと文人は思った。
文人は学校に向かっていた。
最初は道行く人間全ての情報が表示されたが、
任意で対象を選んで非表示にしたり出来るとわかり、
とりあえず非表示にしていた。
とにかく能力を早目に把握するべきだと文人は考えた。
学校に着いた文人は自分のクラスを見て、教室へ向かった。
教室に着いて自分の席に着く。
文人が辺りを見回すと、右隣の席に美少女がいた。
ストレートの黒髪にキリっとした意志の強い瞳が印象的だった。
そっとステータスを視る。
氷見鏡花
LV:1
技能:IQ200 分割並列思考
……いわゆる天才か。
こんなのチートだろ。
いや、完全理解を持っている俺もチートか。
一旦氷見のことは置いておいて、左隣を見る。
こちらも美少女なのだが、金髪でどう見てもヤンキーである。
文人はステータスをこっそりと確認する。
姫路花音
LV:16
技能:喧嘩殺法
……レベルが違う。
明らかに関わってはいけない。
文人のモットーは平和時々刺激なのだ。
この二人とは関わらないでおこう。
文人はそう決め最初のHRに臨んだ。