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無題  作者: 名無し
1/4

無題:到来


 VRMMOというジャンルのゲームが創られてから幾星霜。


 他ならぬ私も、そんなゲームに魅了されている一人である──















 ログイン───





 「これは………」


 思わず息を呑んだ。






 一年前のこの時期にリリースされたVRMMO、「New Life Online」。まるでもう一つの現実を創り上げたかのようなその凄まじいクオリティは、人々を興奮の渦へと巻き込んだ。


 だが、それから丸一年で、ここまでフルダイブ技術を昇華させた作品がリリースされるということを、誰が予想できただろうか。



 現実よりも現実味がある─


 ファンタジー小説よりも不思議に溢れている─


 そんな喜ばしい矛盾。





 「すごい……」




 未だ衝撃が抜けきらない中、恐る恐るホームウィンドウを呼び出す。


 ホームページの紹介にもあった、超高性能の脳波測定機能を用いたリアルタイムかつ精緻な思考入力が行われる。


 まるで、日常の一部として当たり前のように使ってきたかのようなスムーズさで、多機能なウィンドウを出現させることができることには、称賛を通り越してドン引きせざるを得ない。


 なんでも、自らの意識下で一定以上の思考を感知させることで、そのトリガーが引かれるらしい。


 だが、その違和感を全く(・・)感じない。


 NLOでは多少感じられた、思考と入力、体の動きとの齟齬。


 現実のようにもっと細かく動きたい、という不満は大なり小なり、どのプレイヤーからも上がっていた。


 だが、この「Unknown Fantasy Possibilities -WORLD-」の前では、そのような不平不満は霧散してしまう。


 この脳波測定スムーズさは、人類を、完全なる新時代へと導く。そのような予感に打ち震えた。














 激震が抜けきった後、一通り、動きを試してみた。


 ウィンドウの呼び出し。


 ウィンドウからのインベントリ呼び出し。


 インベントリからの武器の取り出し。


 素振り。







 ・・・・








 なるほど…。


 最高だな。


 一通り動いてみても、やはりというか、動きに全く違和感を感じない。


 思考に連動して体が動く、その塩梅が現実そのものだ。


 一年前とは違うぞ、と言わんばかりの技術力、クオリティ。


 流石、天下のTeller社だな。


 おおよそ、一年というスパンで開発できるクオリティではない。


 VRというジャンルにおいて、これ以上のクオリティなんて求められないだろう。


 まさしく、人類のVRフルダイブ技術の極致だ。


 これは何十年も存続すること間違いなしのゲームだ。わたしの折り紙付きだ。


 そう思うと共に、得も言われぬ感覚が体中を駆け回り、無性にこの世界を見てみたくなってくる。


 レベルアップという努力が無駄にならない。


 なんと素敵なことなのだろうか。


 サービス終了という悪魔に必死に許しを請う時代は終わりを告げ、Teller社に全財産を捧げる時代がやってくるのだ。







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