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#8 『その名はヒイロ=ブライトネス ~マリアに学ぶ異世界の歩き方~』

 


「超絶エンジン解放!! 必殺ぅ……バーーーニング……ナッコゥ!!!」



 ただのパンチにしてもこのくらいの演出を挟まなければやってられないよ。



「流石はヒイロ様! 鮮やかなお手並みでした!」


「そう……」



 これだけ簡単な事をこなしても褒めてくれる人間があっちの世界にも居てくれたらもっと長生きできたかもしれないな……虚しくなるからやめよう。にしても……



『ピピィ……』


「こんな小さな魔物を相手にするのは気が引けるというか……」


「何を言ってるんですか! こんな小さな魔物でも長い目で見れば脅威なんですよ!」



 そういえばここら辺から見てくれてる人達には自己紹介がまだだったね


 僕の名前はヒイロ=ブライトネス。純日本人だ


 いくらでも笑い者にするがいいさ。僕はもう何も感じないよ


 あれから一週間ほど時間が経ち、最近では巫女のマリアさんからクエストと呼ばれる……まぁこの世界の仕事みたいな物を教わっている所だ。王都にあるギルドカウンターから依頼されているクエストを自分で選んで期日までに達成すれば報酬を受けられるというシンプルな物だ


 ギルドカウンターには職種の異なる人々が一堂に会し、各々が目標とする場所へ初めて会った人と共に出発する様はどことなく派遣社員と似た物を感じた。



「さぁヒイロ様、この魔物の素材をギルドまで届ければ任務は完遂です!」


「本当にこれって必要なの……? だって僕はゴライアスザウルスを……」


「強いだけがヒーローでは無いとあの本にも書かれていましたのに!」


「まぁ……その通りです……」



 そうだ、女神様が残したであろうあの本にも"冒険者"として記されていた所を見るに、僕に求められているのは巨悪の打倒だけではなくこの世界の安寧。未だに怪人らしき悪の存在を目にした事は無いがきっとどこかで爪を研いでいるのだろう! いやそうであってくれ!


 

 それまではこうやって日銭を稼ぎながらそこそこ困っている人達を助けて時が来るのを待とう。それに誰かを救う行為に大も小も無いのだ! と改めて兜の緒を締め直す事にした



 * * *



「ではこちらが報酬となります」


「たったこれだけ……? これじゃあすぐに無くなっちゃうよ!」


「一日の食費としては少ないくらいでしょうか?」


「日本円にして千円って所かぁ……」



 やっぱり依頼内容がしょぼいと得られる報酬も相応って感じみたいで、だから早くゴライアスザウルス級の魔物を狩りに行かせて! ってマリアさんにお願いしてるんだけど……それは"国家狩猟技士"という資格がなければ受注すら出来ないんだとか……



 まぁ考えて見れば僕のいた世界でもスズメバチの巣を駆除する人とか業者みたいになってたし、危険な生物に近づくにはそれなりの信頼や実績が必要って事なんだろう。いつかは僕も国家狩猟技士の資格を手に入れるぞ~!



 将来的に英雄となる人物にも英雄譚として語られるこういった下積み時代が必要なんだろう、俄然やる気が出て来た!



「じゃあマリアさん! 次はこの武器屋からの依頼を受けてみたいな!」


「ゲッ……そちらのクエストはあまりオススメ出来ないというか……」


「ほら見ての通り僕には武器が無いでしょ? だからこの世界の武器商人にカッコいい武器の一つでも作って貰って……」



 僕はこちらの世界に来てすぐに頂点捕食者として君臨するゴライアスザウルスを打ちのめしてしまったため、このままでは拳一つでどうとでもなりそうな事に正直焦りを感じていた


 ヒーローと言えば必殺の攻撃時に仲間数人で放つ連携技みたいな物でとどめを刺さないと締まりが悪い気がして……


 もっと欲を言えば全員でロボットに乗って巨大な敵と戦ったりなんかもしてみたいなと思う所存ですが、この文明力を鑑みるにそれは無理ってもんだろう……そこは我慢するからせめて怪人を一刀両断出来る様なカッコイイ刀とかが欲しいんだ!



「そうは言いましても……う~ん……」


「ヒーローとしては小さな物事でも解決をしなきゃ! ね?」


「し、仕方ありませんね……」



 どこか不安そうなマリアさんだけど、そんな事はどこ吹く風。


 僕は両手を大きく振りながら自分の思い描く明るい未来へと歩き出したのだった!!




 つづく!!


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