#2 『髑髏で般若のグロテスクヒーロー!?』
モンスターと思われる生物からは助け出す事が出来たけど、僕の顔を見るなり気絶してしまったこの女性をどこか安全な場所に避難させなければ……
そうだ、さっきの説明書の所まで運んで他に有用な機能が無いか確かめてみよう!そのうちこの人も目を覚ますだろうし、そしたらこの世界についてももっと詳しく聞いてみよう
えっと、変身を解除するには……ってそれも説明書で確認しなきゃ。
本当に面倒というか女神様も全部の説明が終わってからこっちの世界に飛ばせばいいのに……もしいきなり敵幹部の目の前にでも出てたらどうするつもりだったんだ!
そんな恨み事を呟きながら今来た道を引き返し、改めてこの変身形態による筋力の増加に驚いている。以前までの自分ならどれだけ細身に見えるこの女性といえども抱え上げる事なんか出来なかっただろう、この世界での僕は本当に今までの自分とは違う力を手に入れたんだ……と悦に入っていると僕の腕の中で眠る女性はうなされながらも目を覚ましたようだ
「う……うぅん……あれ? 私ったらなんで……」
「お 目 覚 め で す か ?」
「いやああああ!? ふきゅぅ────」
ようやく目が覚めたかと思えばまた叫び声を上げて気絶してしまう。
こっちの世界ではヒーローという概念が存在しないんだろうか?確かに元居た世界のヒーローに比べればゴツゴツしたスーツの素材だと思うし……でも僕が今まで見て来た作品ではそれぞれモチーフとなる生物に変身する訳で、確かに少しグロテスクに感じてしまうかもしれない。自分もヒーローという存在を知らなければこの女性と同じ様に悲鳴を上げて気絶しているのかもしれないな
そう考えるとやはり正義を行動で示して来た彼らの功績は想像以上に大きいんだろう。僕もこの世界の人々から慕って貰える様に頑張らなくちゃ!
* * *
程なくして自分が転送された地点まで帰ってくる事が出来た。説明書もそのままだし何とかなりそうだな
えっと、変身を解除するにはこの左手の骨を引き抜く……骨?なんだ骨って。
ていうかこの説明書のシルエットなんか骸骨っぽいというか……顔も般若みたいに見えるんだけど……まさかこれが僕の変身した後の姿って事は無いよね……?
恐る恐る顔を指でなぞると口は耳元まで裂け、額には二本の角が生えている。
そして極めつけはこの全身像。身体全体の皮膚が削がれ骨と筋肉が丸見えになった様な造形をしている。
こんな容姿でヒーロー……?これではせっかくの真っ赤な全身も血が滲んでいる断面図の様に見えて格好良いどころか非常にグロテスクというか……
「こんなの……僕の知っているヒーローじゃないよー!!」
悲痛な叫び声は虚しく森の木々に反響し返って来る。
"正義のヒーロー"天地正義はこれから先ヒーローとしてやって行けるのだろうか!?
頑張れ正義、負けるな正義!!平和を勝ち取るその日まで───!!
つづくっ!!