プロローグ
心がこの世界に居られない程に押し潰されると、この世界から人は消える。
具体的に言うと精神状態が不安し気落ちしている状態が極度なものになると身体が煙の様になり空に吸い込まれる様に昇って行くらしい。
その後何処へ行くのかは誰も知らない。帰って来た人間はいない。
どこか別の世界でよろしくやっているかもしれないがこっちの世界では知る由もない事なのだから知ったことではない。
この国の死亡原因の7割は人が消えて居なくなる事だ、10代~20代の死亡原因の9割もそれだ。
主に思春期の若者がそうなる原因は失恋によってである。
他にも間々ある、虐めや極度のコンプレックスに過度の期待、重度の責任がかかる場面での失敗(例で言うなら甲子園予選決勝で後1つヒットが出れば勝利という場面で三振する)と様々ある。
思春期によくあるが歳をとり思い返せば大したことが無いような事柄でも当時は極度に思い詰め精神が乖離するという事がある。思春期の繊細で感傷的で感情的な精神は酷く脆く扱いに安牌も無いため処置のしようがない。
また、学生同士の恋人においては共依存するなかれ。
別れると二人の人間が消える事になるからだ。そしてその両親や姉弟はたまた祖父祖母と連鎖していく事態も間々ある。これを消失の連鎖と言う。
また犬、猫を代表とするペットも飼うなかれ。
ペットが生命活動を終えその悲しみによって消失する人間もいる。
希に死にたい程辛い思いをして生きているにも関わらず消失しない人間もいる。そういう人間が消失せずに生きているのは幸か不幸かわからないが恐らくなんかしら図太いのであろう。
とりあえずこれを読んだ人間に言いたい事は図太く鈍感に生きろ。
繊細で傷付きやすい人間になるなかれ。
罪悪感を感じるな。無責任であれ。
抜粋 現代を生きる若者達へ
著 青山 博己 メンタルケアカウンセラー
この本の出版、一年後にこの青山博己(47歳)さんは、消失してしまう。原因は高校生の恋人が他の男とくっつきふられてしまった為らしい。