私の秘密(ってほどの事でもない)
「いや、ちょ、ちょっと待ってください。怪しすぎて契約したくありません。」
そう言うと、天使はびっくりした顔をしてから、「あ、そうか」と呟いてげらげら笑い始めた。
「自己紹介してませんもんね!
ふへっ、ふふ、うっかりしてました。すっかり忘れてましたよー!
何しろ、ぼくは君の事は知っていますから。」
「証拠もありますよ」と言いながら、天使はまたもやカバンに手を突っ込んだ。
今度出てきたのはバインダーだった。
「えーっと、君は……一ノ瀬実里ですねー。16歳。
有里ヶ(ありが)高校に通ってるんですかー。
でー?性格は、短気ー?短気なんですか。」
色々勝手に調べられている上に、短気だなんて大変失礼な事を勝手に言われている。
「まぁ、そうかもしれないです。」
こめかみがピクピクと動くのを必死に堪えて震える声で言った。
「それでー、備考?えっと、一ノ瀬実里は学校のアイドル?……え?」
奇妙な生物を見たような顔をされた。
「……本当ですけど。」
手足を組んで睨むとますます不思議そうな顔をされた。
「なんでこんなのが……、あ、あぁ!続きがあった。
あぁ!学校の女子から見たあなたはアイドルなんですね!あぁ!なんだ!男子からは怖がられてるんだ!」
勝手に納得されている。腹立たしい。
「えーっと、戦闘向き、そうなんですねー。
幼い頃から独学で様々な武術を学んだ……へぇ……案外努力家なんですかー。
あ!でも、その理由は歳下イケメンを捕まえるため……?なんですかそれ……ぷっ、あはは!」
「ちょっ!やめて下さい!続き読もうとしないで!他のお客さんは……いないけど店員さんが居るから!」
「大丈夫ですよー!ぼくたちの存在感は最低限必要な程度に消してますから!続き読みますよ。」
そう言うと、天使は私の制止を無視して続きを読み始めた。
「幼い頃に読んだ、『強い女の子が学校の不良を倒したら後輩男子に弟子入りされて、だんだん恋に落ちていく物語』に、強い憧れを抱き……ぷっ、ふふっ……その日から武術を独学でやり始める……くっふぅ……んふっ……あはははは!」
凄く必死に笑いを堪えてくれようだったが、無理だったようだ。壊れたようにずっとげらげらげらげらと1人で笑っている。
「あの、ギャグじゃないんですけど。」
私が睨んでも笑いが止まる気配はない。
「ギャグじゃ……ふふっ……ないから、こんなに、ふふっ、笑ってるんですよ、んふっ。」
結局天使は、店員さんがキャラメルマキアートを持ってくるまで笑っていた。
読んでくださってありがとうございましたm(__)m
毎回同じ事言っているんですが、誤字、脱字、分からない、面白くないなど教えていただけると嬉しいですヽ(*´∀`)