第60話 VS邪神軍⑦/ドラゴンキラー(後編)
皆様のおかげで総合評価が500ptに達しました。本当にありがとうございます。
とりあえず、次の目標はブックマーク200、そしてこの第3章を終わらせます。予定ではのこり6話ぐらいのため、今週中か、来週の頭には終わらせて、早く主人公サイドに移行したいです。
私の前に立ちふさがる大きな魔物。周りから大海魔とか言われている。
大海魔は人をそのまま大きくしたような魔物で、私や周りの兵士達目掛けて殴りつけてきた。
私はそれを普通に躱したが、周りの兵士達は避ける事が出来ずに吹き飛ばされる。
あれを放置していると面倒くさい。そう判断した私はその場から跳躍し、【戦乙女】の力を少しだけ解放した。
私を直視した大海魔は、私から出ている光に目をやられたのか、眩しがっている。
そんな隙を私が見逃すはずがなく、持っている棒を大海魔の頭に叩きつける。
すると、大海魔の頭は棒で叩きつけられたというよりも、頭から剣で切られたように真っ二つになり、大量の青い血の様なモノが降り注いだ。
念のため、再生されるとか困るので、私は棒に炎を纏わせ棒に炎を纏わせ棒に炎を纏わせ、全体を燃やすように棒を振るった。
みるみるうちに全身が燃えていく大海魔。恐らくもう大丈夫だろう。
そう思い、私は栄治と光の方向を見た。
どうやら光の方はイカの魔物を倒したらしい。栄治の方はまだ龍と戦っているようだ。
という事は、栄治の方に行った方がいいと判断し、私は駆け出した。
***
「ありがとう、小音子ちゃん。何とか危機を脱出できた」
俺は小音子ちゃんに礼を言い、シードラゴンの方を見た。
奴は今、小音子ちゃんから背中を攻撃されたため、のたうち回っている状態だ。
やはり俺が思った通り、背中が今のところは弱点らしい。
しかも――
「栄治。あいつの背中に逆鱗みたいなやつがあった。恐らくそこが弱点」
どうりで喉元やその他の場所を見ても見つからない訳だ。
一応背中も見ていたが、もしかしたら飛ばしている鱗とかに隠れていたせいで、見つけられなかったのかもしれないな。
「小音子ちゃん、俺がまたやつの攻撃を引き付けるから、背中を攻撃してほしい」
「わかった」
シードラゴンは怒りの感情を露わにし、再び鱗を飛ばしてきた。
俺は今回はそれを防ぐだけでいい。だから焦らずに攻撃をいなした。
その間に小音子ちゃんが鱗攻撃の範囲から逃れ、素早くシードラゴンの背中に回った。
「フッ――」
小音子ちゃんは再びシードラゴンの背中に棒を叩きつけたようだ。
しかし、シードラゴンは体をくねらせ、逆鱗への直撃を避けたようだ。
「むかつく――避けられた」
「流石に同じ手は通じないか――ってくそ!」
シードラゴンは俺達に向けて単発のブレス攻撃を連続でしてくる。
俺達はそれを避け、少し距離を取った。
「栄治。あいつの背中、鱗が少なくなっていて、今なら剣が通るかも」
「え、本当?」
「多分――あいつの背中まで移動し、剣を突き刺して足場にする。そして逆鱗のところまで移動して攻撃する。この方法が良いと思う」
「じゃあまた俺があいつの注意を引いて――」
「ダメ。私の棒じゃ今は無理。あいつの体に刺せない。栄治の剣が良いと思う。じゃ――」
「小音子ちゃん!?」
そう言うと、俺の意見を聞かずに小音子ちゃんはシードラゴンに向けて走り出した。
仕方なく俺は小音子ちゃんの後に続き、剣に再び闘気を込め、シードラゴンに向かって行く。
シードラゴンは先に来た小音子ちゃんを排除するため、ブレスと鱗を飛ばしている。
小音子ちゃんはそれを巧みに避け、さらに攻めるかのようなフェイントを交え、シードラゴンを翻弄している。
俺はその隙に背中に回り、鱗が少なくなっている場所に剣を突き立てた。
流石に鱗でも弱点でもない場所の為、先ほどの様な反応は無いが、背中に乗った俺が鬱陶しいのか、体をしならせて俺を落そうとする。
「くそ! ここまで来て落ちてたまるか!」
俺は何とか踏ん張り、一歩ずつシードラゴンの逆鱗まで近づいて行く。
とうとう奴はその大きな体調を活かし、頭を天高くまで上げていった。
シードラゴンの逆鱗は背中といっても頭側にあり、俺は地上から25メートル程高い場所にいきなり運ばれた形になった。
「うわ! やばい、落ちる!」
俺は何とか剣にしがみついているが、シードラゴンは背中を地面に向け、まるで背中に付いている俺を地面に叩き潰すかの如く、背中から地面に落ちて行った。
俺は仕方なく、剣から手を放し、もうすぐ地面に着く5メートルぐらいの高さ時点で横跳びをして逃げた。
何とかギリギリ【空中闊歩】で地面まで着ける高さで逃げる事が出来たが、シードラゴンはその巨体を背中ら地面に一直線に叩きつけた。
「済まない小音子ちゃん――失敗した」
「大丈夫。まだチャンスはある」
小音子ちゃんはそう言うと、逆鱗がある場所まで駆けて行った。
今背中は地面に着いているため、比較的簡単に逆鱗のところまで行けると踏んだのだろう。
俺も自分の剣を回収するため、逆鱗の方へ駆け出した。
――ギシャァァァァ!――
シードラゴンが起き上がってきた。しかし、既に小音子ちゃんは逆鱗の傍まで近づいており、俺もあと数歩で剣に手が届く。
小音子ちゃんは棒を構え、逆鱗を攻撃した。それと同時に俺も剣を掴んだ。
――ギシャァァァァ!――
再び暴れだすシードラゴン。どうやら攻撃は通じた様だが、倒すまでは至らなかったらしい。
俺は今度こそ剣を話さない様にしっかりと握りしめ、シードラゴンが暴れ終わるのを待った。
その間に何度も振り回されて、落ちそうになるが、ダメージを受けている今がチャンスと考え、何とか耐えた。
シードラゴンの動きが少しづつ遅くなり、俺もある程度動けるようになったため、剣を抜き【空中闊歩】で逆鱗まで近づいた。
シードラゴンも俺の接近に気が付いたのか、空中にいる俺に向けて背中の鱗を飛ばしてくる。
俺が空中で軌道を還れるのはあと3歩。距離にして5メートル上に飛べばいい。
鱗が俺の前に降ってきた。俺は斜め上に飛び、更に迫って来ていた鱗を利用して更に上に飛んだ。
――残り2歩――
更に鱗が迫ってきた。しかも今度は前、斜め右、そして斜め左と3方向からだ。
俺は斜め後ろに飛び、すぐさま降ってきた鱗に足を着け、三角飛びのように鱗を巧みに使い、更に上へ登っていく。
――残り1歩――
とうとう俺が手を伸ばせば逆鱗に触れるぐらいの距離まで来た。
奴も抵抗しているためか体を揺らし、俺の攻撃を避けようとしている。
しかし、俺は最後の【空中闊歩】を使い、奴の逆鱗の傍の鱗の隙間に剣を入れ、背中に立つ事に成功した。
そのまま剣に更に鬼の闘気を纏わせ、逆鱗に向け、手に入れたスキルの中でもドラゴン系に対して高い威力を誇る剣術スキルを発動した。
「これで終わりだ! 【ドラゴブレイカー】!」
俺のスキルが逆鱗に当たると、なんと逆鱗がシードラゴンから剥がれ、そのまま体の芯まで剣が入っていった。
――ギジャァァァァ!――
今までで一番激しくシードラゴンが動いているが、俺は気にせずそのまま剣を尻尾に向けて、まるで魚を捌くが如く大きく切り裂いた。
――ギーージャーーァァ――
シードラゴンは最後に声にならない叫びを上げながら、その巨体が全て地面に横たわった。
「ハァ~……何とか倒せた」
明らかに俺よりも強い魔物であった。100階層で戦えた魔物でも、こんなに苦戦した事はない。
やはりまだまだ俺は弱い。もっと強くなる必要がある。そう再認識できた戦いだったと言ってもいい。
「お疲れ栄治」
小音子ちゃんがいつの間にか俺の傍に来ていた。
彼女は特に疲れた様子も見せていないが、相変わらず全身青い。着ている服もところどころ青ければ、顔も髪も青い。
恐らく今まで沢山の魔物を倒し、その返り血が付いたけどそのままでいたのだろう。
「お疲れ小音子ちゃん。とりあえず、少し休もうか? その格好もどうにかした方がいいしね」
そう言うと、小音子ちゃんはわかっていないのか首を傾げた。
どうやら自身の見た目には無頓着らしい。
「栄治さーん!」
少し離れた場所から光君の声が聞こえた。どうやら彼も強敵戦を終わらせていたらしい。
俺は小音子ちゃんと一緒に光君の方へと歩きだした。




