第46話 魔法初体験
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皇帝陛下との謁見も終わり、僕はエクレール家に戻ってきた。
帰宅中にいろいろ考えたが、そもそも僕はこのあたりの地理を全然知らない事に気付き、まずは勉強からしようと考えていたところ、クルルが出迎えてくれた。
「あ、ナガヨシおかえりー。どうだった?」
「ただいま。特に何もなかったよ。僕が世界樹で起きたことを報告しただけで、他は別に何もなかったね」
「ふ~ん――今からどうするの? 予定ある?」
「一応帝国の地理を知っておきたいから、少し調べごとをしようと思ったけど、どうかした?」
「うん。今後の事なんだけど、ちょっと相談事があってね。いいかな?」
「うん。どうしたの?」
「私の事じゃなくて、ナガヨシの事なんだよね」
はて? 僕についての相談事を僕に言うって、何の相談か想像できないな? 何かやらかしたかな?
「僕の事? 何? 何か僕変な事とかした?」
「そういうことじゃなくて、ナガヨシってさ、攻撃手段が剣と棒、それから石とかを拾っての投擲しかないよね?」
確かに僕は剣と棒、後は適当に投げることしかできないね。本当は僕もカッコよく広範囲の敵を倒す術とか欲しかったのは事実だけど――
「あとさ、ナガヨシって魔法の事どれくらい知ってる?」
魔法といえば、ラケーテン旅団のゴトーさんと、金精院の女性が放ったところしか見ていない。
それぞれが風と炎の魔法を使った事だけはわかる。羨ましいね、魔法って。ロマンがあるよね。
「魔法に関しては全然知らないね。あの初陣で初めて見たし、その後は誰も使ったところを見てないからね」
「ま、本来魔法を使える人って、100人に1人しか扱うことが出来ないって言われるぐらいのだからね。
殆どは国から雇われてる超エリートになるか、うち(金精院)にいたソーラさんや、ラケーテン旅団にいたゴトーさんみたいに趣味で冒険者になる人もいるらしいけど、凄く少数みたいね」
何所の世界のファンタジーも、魔法使いは重宝される。だって簡単に10人以上もの人を再起不能にできたり、何百人という人を1人で足止め出来たりするもんね。
その一団に1人でも魔法使いが居るのと居ないのでは、戦力に大きく差ができるのも頷けれる。
「そこで私は考えました! ナガヨシにはもっと実践を経験してもらおうと。具体的には魔法をもっと体験し、いざ魔法が来ても慌てない様になろう! っていう事を思いついたんだけど、どう?」
確かに魔法は僕には放たれていないため、どれぐらいの脅威かを体感できていないのは事実だ。
でも、クルルはさっき魔法使いは貴重な人らしいと言っていた気がするけど――
「あ、魔法使いに関しては気にしないでいいよ。お姉ちゃんに協力してもらうように、既に交渉済みだから」
何とも手際がいい事で。ていうかお姉さんって魔法使いだったんだ。ただの貴族婦人かと思っちゃったよ。
「ちなみに、お姉ちゃんは元魔法使いだけが所属できる魔法部隊の副隊長だよ。お父さんが隊長の部隊なんだけどね」
滅茶苦茶エリートだったんだね。このエクレール家って。もしかして――
「クルル。この家族の得意な魔法って、もしかして雷魔法とか?」
「え? すごーい!? なんでわかったの?」
「いや、僕の世界にエクレールって言葉があって、雷を意味する言葉なんだよね」
「へぇ~、凄い偶然だね」
雷魔法か――僕の想像では、勇者のみが使える魔法だったり、威力もさることながら、一番の脅威はその速さだったりする魔法なイメージだけど――
「雷魔法ってね、すごく速くて、魔法を唱え終わった瞬間に、相手は黒焦げになってるの。すごいよね?」
どうやらイメージ通りの魔法の様だ。であれば確かに一度は見た方がいい魔法であるな。
「あとお姉ちゃんが久しぶりの運動になるからって、元部下の人達も連れてくるって言ってたよ? いろいろな魔法が見れると思うから、楽しみにしててね」
僕の為にいろいろ考えてくれて、本当にありがたい。そう思いながらクルルさんと家を出て、お姉さんが待つ訓練場に行くのだった。
***
「お姉ーちゃーん!」
「あら、クルル。ようやく来たわね。待ってたわ」
マリア―ナさんは家にいた時のドレスのような姿ではなく、魔法使いが付けるようなマントを羽織り、中の服は動きやすいような服装にロングスカートを履いていた、
ちなみに、今日のクルルは動きやすさ重視の短パンと、肩が露出している服を着ている。姉とは露出の意味では正反対だ。
「マリア―ナさん。本日はよろしくお願いします」
「ええ。今日は私もストレス発散させたいから、沢山魔法を使わせてもらうわ」
そう言って、マリアさんは早速小さな雷の玉のようなものを周りに浮かばせた。
よく考えたら、魔法をこんな真近で見たのは初めてなので、少し興奮している。
「あと、私以外にも3人いるけど、彼女らも一緒に訓練するから、よろしくね?」
「はい、わかりました。勉強させてもらいます」
この場には魔法使いが4人もいる。果たしてどんな魔法を使うのか、非常に楽しみだ。
僕は魔法を使う人達の邪魔にならない様に、クルルさんと一緒に少しだけ離れた場所に移動した。
「じゃあ最初はフィアとリオね。二人とも、準備は?」
「大丈夫で~す。お任せくださ~い」
「私も大丈夫です。何時でも行けます。あとフィア、口調」
「ごめんね~?」
おっとり口調のフィアさん。目と姿勢がキリっとしていて真面目そうなリオさん。
フィアさんは水色の髪を三つ編みにしており、なかなかの巨乳の持ち主。リオさんは赤い髪を短くしており、ボーイッシュな印象だ。胸もそこそこある。
2人が位置に着くと、遠くから的が出てきた。1つしか的が出てない事から、多分どちらが早く的に当てるかを競うのだろう。
「よーし――始め!」
『わが手に集いし氷の礫よ。我が意を汲み取り我が敵を穿て――【アイスブリット】――』
『わが手に集いし炎の揺らめきよ。その熱を持って全ての燃やせ――【ファイヤーブリット】――』
フィアさんから放たれた氷の塊と、リオさんから放たれた炎の玉は、同時に的にぶつかった様に見えた。
しかし、その的は判定機能もあるようで、フィアさんさんに軍配が上がったようだ。
「えへへ。今回も私の勝ちだね~リオ~」
「ハァ――また負けちゃった。相変わらず口調は変なのに魔法に関しては強いわね」
後で聞いた話だが、今日集まった3人は魔法部隊の中でも、実力は上位の3人らしい。
しかし、未だに引退したはずのマリア―ナさんには通く及ばないらしい。何でも雷は反則的に強すぎるとの事だ。
「じゃあ次は私とクリスタね。早速やるわよ」
「わかりました。全力でやらせていただきます」
クリスタさんは茶髪をボブカットしてるような人だった。スタイルのバランスも良く、見た目だけなら少しみなもに似ていると思う。
『わが手に集いし雷よ。相手を打ち砕きなさい――【サンダーブリット】――』
『わが手に集いし岩よ。全て粉砕しなさい――【ストーンブリット】――』
マリア―ナさんが放った雷魔法は、発動したと同時に黄色い弾丸が発射され、わずか1秒もかからずに的に命中した。
その後、約2秒遅れぐらいでクリスタさんが放った岩の魔法が的に当たった。
「クリスタ、だいぶ速度が上がったわね。速度が出にくい地魔法でこれだけの速度を出せるのであれば、上出来だわ」
「ありがとうございます、マリア―ナ副隊長。相変わらず反則的に早いですね」
「元よ元、もう副隊長じゃないわ。それに一応魔法の練習は継続しているから、そうそう実力が落ちることはないわよ」
そう言ってマリア―ナさんは微笑んで見せた。
初めて雷魔法を見たが、速すぎる。認識した瞬間に的に当たるような速さなんて、切れるはずがない。
―― ん? ――
「ねえクルル。魔法って防ぐにはどうしたらいいの?」
「防ぐ方法? そうだね……魔法耐性の装備を揃えるとか、魔法で防御壁を作るとか……お姉ーちゃーん! 質問していい?」
クルルが大きな声を出してマリア―ナさんを呼ぶと、それに合わせて全員がこちらに来た。
そして魔法の防御についての質問をした結果、マリア―ナさんが結論を教えてくれた。
「つまり、魔法を防ぐには何パターンかあるわ。まずは装備。魔法耐性の装備って結構あるけど、高性能になる程お金がかかるから、最初の内は集めるだけで大変でしょうね。
次に相殺。さっきクルルが言った通り障壁を作るとか、別属性を当てて相殺するっていうのもあるわ。両方とも魔法使い向けの防御方法だけどね」
更に詳しく言うと、障壁を作る際、飛んでくる魔法よりも多くの魔力で作らないといけないというデメリットもある。
相手の力量の差が大きければ大きいほど、障壁を張る側の負担が大きいらしい。
そして別属性相殺はもっと難しいわ。魔力量もそうだけど、発動タイミングとかも結構シビアみたいだ。
マリア―ナさんの雷魔法なんて、地属性とかで相殺できるらしいけど、圧倒的に速度が足りないので、基本的に相殺は無理に近いらしい。
「なるほど――ちなみに、魔法って切る事できますか?」
「はい? 何言ってるのナガヨシ?」
クルルに突っ込まれた。いや、切れるかどうか凄く気になるだけど? おかしい事言ったのかな?
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