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第3話 多次元異世界召喚(前編)/召喚完了

12/18 サブタイトル修正

 いつも通りの朝だった。今日も休日のため、みなもと朝ご飯を食べ、みなもを僕の膝枕に寝かせ、起きたら一緒に散歩し、お昼ご飯を食べ、また散歩。軽く歩いて帰宅後、今度は僕が膝枕をされているときにそれは起こった。


「――うわー、地面が光ってる。本当に15時きっかりだ」

「え、今光ってるの?」

「うん――はぁー。てなわけで行ってきます。みなもも子どもがいるんだから身体を一番に考えてね」

「――うん。いってらっしゃい……そっちこそ体に気を付けてね」


 僕はそのまま光に包まれながらみなもを見た。

 みなもは目に涙を浮かべていた。


「帰ってきたら子どもの名前を一緒に考えよう。一応向こうでも考えておくからさ」

「じゃあみなもも考えておくね。男の子用と女の子用の二通り」


 その言葉の後、ぼくはみなもに口づけをした。

 本当に軽く。でもこの感覚を忘れないように。忘れてほしくないように。


「じゃあ、今度こそいってきます」

「――っ! いってらっしゃい!」


 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 気が付くと、そこはおそらく洞窟であった。

 謎の魔方陣と祭壇。間違いなくここに召喚されたことがわかる。

 周りには僕以外にも人が数名横になっている。

 しばらくすると、他の人たちが目覚めてきた。


「……あれ、ここどこだよ?」

「……うぅー。頭痛い」

「あれ? たしか俺はアニメを16時間ぶっ通しで見てたはず? 何話目だっけ?」


 他にも目が覚めたのか周りをキョロキョロ見て回る人たち。

 最後の一人が目を覚ましキョロキョロしだすと突然声が聞こえてきた。


『皆様目が覚めましたね。おはようございます。

 私はアテナネーゼ。この世界の管理しているものです』


 そうすると目の前の祭壇のような場所から一人の女性が現れた。

 神秘的な白のベール。うっすらと肌色が透けている。

 まさに女神。ザ・女神が目の前に存在していた。


「(いや、僕の世界の神は現代ファッションに着こなしている兄ちゃんみたいな人だったから、もしかしたらこの人も今回だけのおめかしかもしれないな)」


 僕はどうでもいいことを考えていたが、周りの人たちはそうではないらしい。


「うわ、まじか、もしかしてこれ異世界召喚もの?」

「え、本当に? これってマジ俺の時代がキター! ってやつじゃない?」

「え、うそ、本当にあるんだこんなこと」

「お腹空いた」


 いろいろしゃべっているが、女神はそんなことには気にせず話しかける。


『申し訳ございません。あなた方を無理やりこの世界に召喚してしまいました。

 本当にごめんなさい。しかし、話を聞いていただきたいのです』


 要約すると、昨日あった神様が説明(紙束)した通りであった。

 ただし、一つだけ説明されていない事があったので質問してみた。


「申し訳ない、質問よろしいでしょうか」


 僕の言葉に全員からの注目が集まる。


『はい、なんでも聞いてください』

「単刀直入に言いますが、魔王討伐後、元の世界に還れるのでしょうか?」


 僕が質問をすると、小さい子以外の人から驚愕の顔がうかがえた。


「そっか……完全に失念していた。最近異世界ものの小説やアニメを見ていたが、還る描写がある作品って少ないから考えてなかった」

 イケメン風の男が呟いた。


「え、帰るの? せっかくのハーレムとか無双とかできる世界なのに? お前本当に男か?」

 小太りの男が僕を何故か非難している。


「もしかして帰る手段がないんじゃ……」

 長身の男がブツブツと言っている。


「どうしよう……帰れないの?」

 高校生ぐらいの女の子が泣きそうな声を出している。


「あー……帰れない場合どうしようましょうかね……」

 明らかにOLみたいなスーツを着ている女性が何か考えている


「あわわわ……」

 同じ年ぐらいの女性が本当に「あわわわ」と言っている。


「お腹空いたし眠いしここどこだし寝てていい?」

 一番小柄な女の子が眠そうにつぶやいている。


『申し訳ございません。私の力では皆様を元の世界に戻すことはできかねます』


 女神は申し訳なさそうに伝えてきた。


『私の力では一方的に呼ぶことしかできないのです。

 魔王を倒して下されば、私の能力が解放され元の世界に戻せるようになる可能性もありますが、こちらも確約ができないのです。』


 その発言を聞き周りは静かになってしまったが、僕は別の事を考えていた。


「(僕の世界の神の話ではたしか手順さえ整えれば帰れると聞いたけど……

 神によって認識や力が違うのかな?ていうよりみんなに本当は帰れるよって教えた方がいいのかな?)」


 そんな風に考えていると、目の前のイケメン君が立ち上がり大きな声を上げた。


「みんな! もう元の世界に帰ることができないのなら、ここは悲観せずに未来を見よう!

 このままくすぶっていてもこの世界が滅びたら死んでしまうし、どうせなら魔王を倒して自分たちが住みやすい環境を作っていこうよ。

 もちろん、還れることに越したことはないけどさ。一応還る方法が他にないか探してはみるけど、見つからない前提で行動した方がいいと思うだ。

 幸い一人ではなくこんなに頭数が揃っているんだし、みんなで力を合わせたらどうにかなるんじゃないかな?」


 さすがイケメン。この短時間ですでに前向きになれるなんて……


「そうだな! アニメがもう見られなくなるのは残念だけど、こっちの世界であれば英雄になれるかも! つまりモテるかも! いやーよかった! あらかじめ異世界召喚や、異世界転生もののアニメや漫画を見てる俺マジ勝ち組だねこれ!」

 小太りの男が便乗してテンションを上げてきた。


 他の面々も多少困惑の色が強いが、二人の発言(というよりイケメンの発言)に対して概ね肯定の様である。


『本当にありがとうございます。最後に、皆様方に召喚の際に力の付与を行いました。

 こちらはあなた方の魂の情報を元に力を付与しています。

 ステータスと唱えると、自身の状態や力を確認できますので、後程お確かめ下さい』


「テンプレキタコレ!」

 小太りよ、もう少しテンションを下げよう。


『皆様がいる祠を出て東に進むとすぐにブライアンジュ王国が見えてきます。

 すでに王国にはお話をしておりますので、最初はそちらで力の練習や英気を養っていてください。

 今後の詳細につきましては国王とご相談された方がよろしいでしょう』


 僕はテンプレでは普通国の説明する人がいるんじゃないかと思っていると

「あれ? テンプレじゃ国のお偉いさんやお姫様あたりがここにいるんじゃないの?」

 と小太り君が質問していた。


『私の判断で、最初は召喚者のみで交流したほうがいいかと思いました。

 そのため、国の者はこの近くにはおりません。

 しかし大丈夫です。この祠もブライアンジュ城近くにある祠ですので、結界の範囲内のため、魔物等に襲われることはございません。

 ゆっくりと親睦を深めてから城に向かわれる方がよいでしょう』


 なるほど、いきなり知らない人達(異世界側)の前で知らない人(召喚者のうちの誰か)が急にリーダーシップをとり、まるでこっちの意思は一致しています感を出されるよりかは遥かにマシか。


『皆様方に光の加護を――この世界を頼みます』


 その言葉の後、最後に眩い光を放ち女神は消えていった。


 今後は自己紹介のターンになると思うけど、僕はどのタイミングで実は元の世界に還れることを説明するべきかを考えていた。

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