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現人神たる天皇陛下、神の御業を周りに示す。
現人神たる天皇は、いよいよ周りに神の御業を示し、来るべき行幸への準備を始めることとなる。
私、現人神たる天皇は、侍従を集めて、今回の神の降臨を受け神と一心同体の存在として、この大日本帝国を導くことを宣言した。この場で、私は、侍従に神の御業を実演して見せた。それは、ある侍従の親族で、従軍中、地雷を踏んでしまい、両脚を太ももから切断せざるを得なかった傷痍軍人を呼び出し、彼の両脚を再生させたのだ。彼の両足は私が義足を外した痛ましい太ももを撫で回したところ、忽ち再生を始め、終わる頃には、リハビリもしないまま歩いて退出するほどだった。侍従たちはその奇跡を目の当たりにし、私に神が降臨したことを確信した。
私は、時の総理大臣近衛文麿に、日本全国へ行幸し、国民全てに神の御業を広めたい旨伝えた。近衛文麿は、御前会議を召集するに当たり、誠に畏れ多いものの出席者に神の御業を御披露願えないだろうかと私に求めた。私は、傷痍軍人の欠損した手足を再生させるのが一番効果的で、とくに陸軍大臣や海軍大臣には感動的だろうと快諾した。