この学校に転入生?妙だな…
夏を感じ始めた7月上旬、学校のテストも終わり皆は夏休みモードに入る人も出てきた。俺こと有川 修もその一人だ。そんな中、終わりのホームルームで担任の活動先生が美少女を連れてきた。これには男女問わずどよめきが起こる。
水色の髪、キリッとした銀色の眼、主張が激しすぎない胸。それはまるでそこにはお人形さんがいるみたいだった。
その美少女は黒板に『藤原 海神』と書いて
「ふじわら みことです。父の仕事の都合でアメリカからやって来ました。これからよろしくお願いします♪」
と蚊をも殺さぬような笑顔で言った。
教室では盛大な拍手が起こり、その美少女も少し驚いた様子だ。そんな中、俺はとある疑問に辿り着く。あれっ? 魔術師見習いとはいえ他国からってアメリカがOK出たのか?
そう考える理由は2つ。1つは魔術師は国家が今最も力を入れている分野だということ。それほど魔術師は貴重なのだ。 2つ目は俺の第六感と言えばいいだろうか。あの笑顔はおかしい。絶対キャラ作ってる。そして少し睨まれたのだ。そう、一瞬だがあれは確かに俺に向けてだった。
担任に誘導され美少女は机に移動、ちょこんと座る。しかしどうして俺の隣なんだ!? 今、その美少女は廊下側最後尾にいる。俺は廊下から2列目最後尾。落ち着け、まだ慌てるような時間じゃない。
「ねぇ」
突然声がかけられる。相手は勿論隣の美少女。
「貴方に放課後色々と教えてもらえってあの人に言われたんだけど……」
「マジですか?」
こくり、と頷く美少女。
俺はおもいっきり担任を睨む。担任はハンドサインで『ごめーん』と謝ってきた。後でコーヒーでも奢ってもらおう、うん、そうしよう。
仕方ない。ため息を1つ、そしてOKサインを美少女に見せてみせた。その子はパァァァッと顔が明るくなった。たぶん、その笑顔は反則だ。おかげでホームルームでの話が一切入ってこなかった。嬉しさ2割、疑い2割、なんとも言えないこの気持ち6割5分。まったく、めんどくさい上にやりづらい。
まだ、この時の俺は知らなかった。こいつとの出会いが俺の人生を狂わせていくことに。
ちなみに担任は夏休みに何処かへ行くなら申請書出してね~と言ってたようです。主人公は後でクラスメイトから聞いたそうです。