第2章開幕
すみません! 一回データが消えてしまい投稿が遅れてしまいました。これからはこまめにctrl+sをしていくようにします。
バイクで空を翔ぶ俺たち。飛行機よりも速く移動する。その上、衛星に見つからないように低空飛行、風魔術のステルス、空気抵抗の相殺など、かなり気の使う作業を俺はしていく。海上ではミズキが水魔術で推進力を作ってくれていたが、土の上ではさすがに無理だ。
思えばここまで来るのは大変だった。地図がないので憶測でここまで来ている。行き先はペンタゴン。つまりアメリカ東海岸だ。パナマ運河を見つけた時は本当に嬉しくて涙が出そうになった。バイクの羽根は航行中のタンカーに置いてきた。もうここまで来ると犯罪が怖くなくなってくる。
陸上を最短で横断した俺たちは海上を走る訳だが、さすがに水飛沫をみられるのはマズイ。ミズキに頼んで対処してもらう。
そしてワシントンD.C.に着いた。日本から8時間。こんなに早く着けるとは思わなかった。俺たちは人気のない岩場に降り、バイクもそこに隠す。もちろん防犯対策はバッチリだ。
日本と違い車が右側通行、馴れるまでバイクに乗るのはやめておこう。おそらく事故を起こすだろう。
初めての外国、それも科学が発達した国。人々は宙に浮いたボードに乗って移動している。建物の高さは東京の比にならない。
上京してきた若者のようにしているとミズキが俺の手を取り足早に歩き出す。
兄妹でありながら両想いであるので、俺はどのような距離感で接したらいいかわからないでいる。
「ここ」
「ここ?」
ミズキが止まった所は日の届かない裏路地。いかにもチンピラが出そうな所にカフェがあった。しかし、CLOSEDの看板が掛けられていたがミズキが中に入っていく。
「たっだいま~♪」
「おや、久しぶりですね。今日は裏ですか?」
中には眼鏡をかけたお爺さんが1人、おそらくマスターだろう。
「うん、そうだよ」
「それで、後ろの方は?」
「新しいバイト志願者。じゃあ、もう行くね」
そういって中に連れられて行く。俺はマスターに一礼しておく。わかってはいたが英語で流暢に話されると頭がパニックになる。
バックヤードにはエレベーターがあった。
「ここが私たち専用の入り口。あそこで働くことは訓練の1つ。社交性を身につけることに繋がる」
成る程、あるかどうかの特殊部隊は国防総省に堂々と入る訳にはいかないか。
喋っているとエレベーターが目的のフロアに着いた。ミズキは大きく深呼吸をする。目付きが変わった。どうやらスパイモードに入ったみたいだ。
地下の中は研究所のような感じで清潔感があった。その中に1つ大きな木製の扉。この雰囲気に似合わないその扉の前でミズキはまた深呼吸。そしてノックをせずに入っていく。
「ただいま戻りました、長官」
「帰ったか、Neptune、今回の任務を言ってみろ」
中は学園ドラマでよくみる校長室のようだった。大きな将棋駒があったりする。あと、長官って言ったよな、ってことはあの人が俺の命の恩人のアリスってことになる。
「日本を効率的に壊滅させる地点の捜索です」
ミズキはそう答える。そういやネプチューンってのはコードネームか?神話からコードネームをとるなんて面白い部隊だ。
「すまない、あれは嘘だ。本当の今回の任務は"自身の出生を知ること"。我々からのささやかなプレゼントだ」
「はぁ?どういうことですか! 」
「そもそも、我々の科学力をもってすればそんなもの不要だと気づかないお前もお前だ」
「~~~‼」
「それで、ソイツはお土産か?」
「いえ、彼は―――」
俺はミズキを手で遮る。これは俺自身で言わないと気が済まない。
「えっと、俺はあの事故の生き残りです。つまり、こいつの兄です」
拙い英語でなんとか話す。肩の傷も見せた。これでわかってくれるだろうか。
「ハハハ、日本語で大丈夫だよ。それにしてもあの時の君がこんなに大きくなるとはな。どうだ、私を恨んでいるか? 君は今までに壮絶な人生を歩んでいるように見える」
「ハヤテ、ハヤテ、長官の固有魔術は『千里眼』。その人の骨格から考えていること、今みたいに心の傷も視ることができる。」
ミズキがヒソヒソと教えてくれた。成る程恐ろしい能力だな。
「いえ、感謝の言葉しかございません。生きていたからこうやって貴女に会えたし、妹にも会えた。」
「そうか、それでここに来たという時点で我々の仲間になるということでいいのか? 答えはYES or DEATHかな」
ハハハ、と笑いながら聞いてくる。俺は勿論YESと答える。
「そうか、ならば今日から我々の一員になるにあたって自己紹介といこう。私はアリス、ここの長官であり、医者でもある。時々、闇医者として戦地に赴き金を稼いでいる」
ここまではミズキに聞いたことがある。すると2人の女性が入ってきた。
「いいタイミングで帰ってきたな、新入りだ。自己紹介しろ」
「アタシはLugh。得意魔術は光。ヨロシクネ♪ 」
金髪でゆるふわカールの女性だ。身長は170位だろうか、それでいて出るとこはしっかり出ている。Lughと言えば太陽神だったはず。モデルでも食っていけそうなのにどうしてここにいるのだろうか。
「Helaです。闇魔術が得意、以上。」
口数の少ない彼女は黒髪のロング、身長は俺とおなじ位、Lughと対照的にすらっとしている。Helaは確かギリシャ神話に出てきたな。
「そうだな、この2人は能力が対照的でセットで任務にあたることがほとんどだな。」
長官が補足する。すると、
「キャーッ‼」
俺は突然Lughに抱きしめられた。丁度俺の顔は彼女の胸に埋まる。
「ハヤテ、コイツは可愛い物に目がない。私もよくされた。 えっと、Lugh、ソイツは男ですよ」
「んなことどーでもいいのっ♪ 可愛い、食べちゃいたい!」
「姉様! お止めください!この男は姉様をいやらしい目で見ております‼」
む、いやらしいとは失礼な。目の前におっきな胸があったら見るだろふつう。
「落ち着けお前ら。コイツは新しい仲間で視たところ風魔術が得意らしい。」
そこまで視えるのか、恐ろしいな千里眼。
「あと2人いるが、今はインドにいる。まぁ、明日には帰ってくるだろう。それで、お前にこれを渡しておく。」
もらったのは腕時計。
「コイツはお前らが住む所なに行くための鍵だ。お前らのシェアハウスの鍵は暗証番号式だが、毎回番号が変わる。だが、コイツがあればコイツに正解が表示される」
へぇ、便利なものだな。
「今日は疲れてるだろう、もう休め。明日からメディカルチェックとお前の実力を見させてもらう。それと、お前のコードネームも考えておく」
「わかりました。これからよろしくお願いします」
そうして俺たち4人は同じフロアの居住区ことシェアハウスに移動。個室を与えられ、早速ベッドに飛び込む。やっぱり魔力を使いすぎたみたいで眠りにつくのは早かった。明日からはいよいよスパイとしての生活の幕が上がる。楽しみ半分、不安半分と言ったところか。