序章
某国、とある施設の地下部屋の一室。限られた人物しか知らないこの場所で二人が話していた。
「今回は初めての長期任務となるわ。あなた独りでできそう?code:Neptune」
男の問いに少女はこくり、と頷く。
「地点Xの捜索、ですよね。」
「えぇ、あなたにとっては久しぶりの日本ね?何かあなたにつながる何かが有ればいいんだけど。そっち方面ばっかり調べて任務をないがしろにしちゃダメだゾ☆」
全く、大事な話の途中でこんな中年のオッサン(しかもオネエ)が可愛い子ぶられると恐怖を通り越して殺意が湧く。
「任務中にゲームばっかりしてるのはどっちですか、もう一回データ消した方が良さそうですね。」
「わぁ、ちょっとちょっとタンマ‼じょじょ、冗談だから消さないでー‼」
「フフッ、冗談ですよ♪」
と言うと胸を撫で下ろしたオッサンがコホン、と咳払い。
「そうそう、これが今任務にあたっての要注意人物ね」
と言って男は一枚の写真を取り出す。
「彼は?」
差し出された写真には少女?いや、少年?いずれにせよ整った顔が映っていた。藍色の髪、つぶらな瞳、全く年齢が読めない。
「それが何もわからない、名前さえもわからなかった。何か後ろに大きなものがあるに違いないわ。明後日の朝出発よ。詳細は後で連絡するわね。」
こくり、と頷いてその場を後にする。あのオッサンとはあまり長いこと話していたくない。あれが世界最強なのだから世の中は不平等だ。
私は初めての長期任務に心を踊らせながらもあの写真の人物には関わらないでおこうと心に決めたのだった。