第一話 大罪の目覚め
ここは黄の国レオヴァース。晴れ渡る秋空の下一人の少年が走っていた。
彼の名は・・・いや今はやめておこう。あの少年は凄い笑顔で走っている。少しあの少年の話を聞いてみよう。
少年 黄の国レオヴァースにて
「この本はきっと凄い歴史書なんだ‼」
僕はそう思い先程見つけたこの本の謎の文字を解読するために書庫へ向かっていた。その直後僕の目にはあり得ない光景がうつったんだ・・・。
「なんだあれは・・・?」
王宮に黒い煙が近づいていた。僕は迷わず走った!できることはなにもないけれどなにもしないよりはましだ。
王宮にたどり着いて僕はさらに絶句した・・・。黒い煙は予想以上に大きかった。
「こんなんどうすればいいんだよ」
僕はもう諦めるしかなかった。そのとき僕が手にしていた本が光だした。その本を見ているうちにだんだんと意識は消えていった・・・。
目が覚めると周りにはたくさんの人がいた。あいにく知り合いは一人もいなかった。何やらみんなざわついている。どうやら黒い煙は消えたらしい。とりあえず何があったか聴いてみよう。
「何があったんですか?」
そこらへんの青年に聴いてみたすると返ってきたのは予想外の答だった。
「君・・・大罪の継承者なのか?」
すかさず否定する。
「そんなわけないじゃないですか」
「しかしその力は大罪の証」
そのとき国王が現れた。
「そなた名をなんと申す」
「はい! 僕の名前は・・・名前・・・あれ?」
確かに今さっきまで名前を覚えていた。しかし
「思い出せません」
今さっきまで覚えていたはずなのに名前も家族のことも友達のこともみんな記憶がすっぽぬけていた。
「名を名乗れぬとは怪しい。その上に先程の不可解な魔法。そしてそのこの大陸には存在しない髪と瞳の色・・・。こやつは大罪だ‼衛兵よ速やかに捕らえ・・・」
僕はごくりと喉を鳴らした。この先どうなるかは目に見えている。
「殺せ‼」
その言葉と同時に僕は走り出した。衛兵の長い槍から逃れながら・・・。
衛兵を撒いたが国から追放されてしまった。ある程度思考が落ち着いてから王様の言葉にひとつ不可解な言動が存在したことに気付いた。
「「この大陸には存在しない髪と瞳の色」」
「おかしい。僕は髪も瞳も黄色のはずだ・・・」
レオヴァースの国民はみんなそうだ。黄色の髪に同じく黄色の瞳。僕もそう。そのはずだった。反射的にポーチに突っ込んだ手になにか触れた。手鏡だ。まさかと思い恐る恐るポーチから手鏡を取り出しす。そして自分の姿を見て絶句した。なんと髪も瞳も色が変わっていた。髪は鮮やかな空色。瞳は吸い込まれるような漆黒の色。
「そんな・・・」
これでは他の国へ逃げてもすぐに見つかってしまう。しかももう故郷に帰ることもできない。
「うあぁ・・・」
そんなやるせない奔流から嗚咽をもらし僕の意識は再び闇の中へと落ちていった。
近づく足音にも気付かず・・・
どうもこんにちは ユウです。このたびこの小説を読んでいただき誠にありがとうございます。
この小説は一年ほど前から書き始めたものであり、友人に背中を押されこうして公開に踏み切りました。これからもこの冒険は続いていきますので、なにとぞ共に最後を見届けてください。