織病
教授になるとかいう話は即効断った。代わりに生物学サークルとかいう名ばかりのサークルが設立された訳だけど。何故か玖音と預盒祁教授もいつも居る。実質、私一人のサークルというか、そういう建前になってるだけの筈なんだけど。
夜帋
『教授、玖音。どうしてここに居るの?』
今日も研究室にその二人は椅子に座ってる。玖音は読書、教授は居眠り。というか、預盒祁教授・・・そんな所で寝てていいの?知らないわよ。何かあっても
2つの試験管を机に置いてどのように調べようか考えてみる。折角色々な機材があるんだから、少しぐらい進展しても良いわよね。片方の試験管に入っているのは、坑老化薬じゃないかと推測してる。本物をてに入れられない以上は、細胞への干渉を観察して推測するしかなかったけど、今ならどうにかして坑老化薬のデータを取得できるかしら?共通していればこれは坑老化薬だと確定できるのよね。
もう片方はよくわからない。だけど、何らかの毒物だと思う。何しろこの2つの成分は、父さんの亡骸から採集したものだから。死因は謎とされていたけど、多分この毒と思われる成分によって死に至ったんだと思う。坑老化薬だと思われる方はよくわからない、父さんは坑老化薬を使ってたのかな?あれはそう簡単にてに入るものじゃないはずだけど、父さんならどうにかしそうね。
悼谷
『夜帋、いったいなにやってんだ?』
夜帋
『起きてたんですか』
さっきまで寝ていた筈の教授は私の背後でタバコをくわえて立っている。おかしいわね、脳波を読める私が間違うわけないはずだけど。
悼谷
『今起きたところだ』
夜帋
『・・・そう』
私は間違ってなかったみたいだし、気にしては負けね。って、何か父さんに似てきた気がするわね・・・。私は常識人の筈よ、絶対にあんな変な人じゃないわ
悼谷
『その試験管の中身はなんだ?学校の教材にはそんなもん無かったよな?』
夜帋
『家の倉庫にしまってあったわ。多分父さんが集めてきたのだと思うわ』
流石に父さんを解剖して採取しましたなんて言えないわ。埋葬するとき隠蔽は大変だったけど、今は証拠も何もないはずだから、大丈夫よね。
悼谷
『まあいいか』
相変わらず適当な教授ね・・・。数学教授がこんなんでいいのかしら?
夜帋
『教授、それはいいのですが・・・。タバコを吸うのは辞めてください』
悼谷
『喫煙者に世知辛い世の中だ』
夜帋
『タバコの有害物質は周りにも影響を与えるんですよ。最近では、その数種類の有害物質は室内等に累積して、化合して更に毒性を強める事が確認されています。私の推測ですが例え一度の化合だとしたとしても、幾多の有害物質による連鎖的な反応が・・・』
悼谷
『わかった、わかった。全く、おまえはネーグルか』
夜帋
『ネーグル?何ですかそれは?』
悼谷
『気にするな、知り合いのニックネームだ』
ネーグル、ネーグル。どっかで聞いたような気がするわね。三人の天才の関係者?そんな感じがするわね。
??
(それはどーかしらぁ、的外れかも知れないわねぇ)
急に出てこないで欲しいわ。間違えて声を出したりしたら。ただの変な独り言になってしまうじゃない。
??
(私には関係ないわねぇ)
そうでしょうね。絶対に気にしないわよね
夜帋
『いろいろと考えても仕方ないし、先ずは目下の問題を片付けましょうか』
悼谷
『そういや、生物学の教授が俺の友人なんだが、そいつがここに来るって言ってんだよ。変な奴だが適当に相手してやれ』
なにそれ、嫌な予感しかしないわ