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Destiny Heart's  作者: harukana
第零章
3/4

beat3 : 本領発揮

誤字、脱字、感想お待ちしています

 翌日、大学に着くと人だかりが出来ていた。大学の所々に『立ち入り禁止』と書かれた黄色のテープが張ってある。きんぷは逃げるように大学から出たので気付かなかったが、改めて見るといくつもの窓ガラスが割られていた。大学内に入ってみると、そこは外に比べ酷い有様だった。机や物置は倒れており、壁や床は、へこんだ後や斬られた跡があった。


 昨日の事をいろいろと聞いて回ってみると、僕の悲鳴を聞いて教授たちが様子を見に来てくれたらしい。すると、二人組みの男がいたので、勇気のある教授は争ったようだ。そのせいで、数人の教授は病院で治療を受けている。巻き添えを食らったのか、軽い傷がついてる教授もいた。


 結局、二人組みは斧を振り回したりと暴れだし、怯んでる隙に逃げ出されてしまったらしい。


(こんな状態じゃ、今日は休講かな)


「おい、レイ!」


 そんな事を考えてると、いきなり名前を呼ばれた。振り返って声の主を確認する。そこには、やはりトーマがいた。


「おはよう、トーマ」


「おはようって……お前はのんきだな」


 先ほどまで、少し慌てていたトーマだが、呆れたような表情になった。


「挨拶は大事だよ?」


「お前な……侵入者に襲われたんだろ? 大丈夫なのかよ?」


「僕が襲われたって何で知ってるんだよ?」


 まさか、もう情報が流れてしまっているのだろうか?


「教授から聞いたんだ」


 僕も教授から話を聞いていたので、入れ違いになったのだろう。


「僕は平気さ。家に帰った後、ゆっくり休めたしね」


 僕はそう言って笑う。それにつられトーマも笑った。トーマは僕の無事を確認して満足したのか、どこかに行ってしまった。







 しばらくして、校内放送で講義の中止が語られた。休講の知らせを聞いた僕は久々に町に出ることにした。いままでは家と学校の往復だけだったので、町に行くことですら新鮮に感じる。町を適当に歩いて、途中買い食いをしたりするのは結構良い気分転換になった。しばらくすると、一見の武器が目に留まった。店の名前は『正宗』という伝説の刀の名前ふが使われている。


「久々に寄ってみるか」


「いらっしゃいませーっ!」


 店に入ると、中から元気の良い声が響いた。


「リラ、相変わらず元気が良いな」


「わぁ! レイ先輩だぁ! お久しぶりです!」


 この元気の良い少年はリラで、僕より三歳年下だ。さらさらとした銀色の髪が肩までかかっており、その上女性のような顔立ちの為、初めて会う人に女性と勘違いされることが多い。常連客から『お嬢』と、からかわれる事もある。


「何で今まで店に顔を出してくれなかったんですか? 僕、寂しかったですよぉ……」


 瞳をうるうるさせて俺を見つめてくる。


「まあ、大学に入ってから、暇があまり無かったからな」


(まったく、こいつってやつは……マジで俺に気が有るんじゃ無いだろうな……)


「最後に会ったのは――」


「三年二ヶ月七日八時間二十三分四十八秒ぶりですね!」


「細かすぎるだろ!?」


 なんで、一秒刻みまで覚えてるんだよ……。


 それにしても、もう三年も経ったのか。意外と時間は早く流れるもんだな。


「それで、今日は僕に会いに来てくれたんですか?」


 なんだか、目がキラキラ輝きだしたように見えるんだが……。うん、見なかったことしよう。


「いや、今日は武器を買いに来たんだ」


「レイ先輩って、刀持ってましたよね? あれより良い刀は置いてませんよ?」


「構わないよ。今持ってる刀はちゃんと整備しないと使えないからな。少し刀見せてもらうよ」


 僕はそう言って、店の中を見て回る。適当に何本か振ったり握ったりして、一番使いやすい刀を探した。


「これを頂くよ」


 僕は、刀を買って、店を出た。






「さて、早く感覚を取り戻さないとな」


 しばらく刀に触っていなかった所為で感覚を取り戻すためにも、無法地帯に入る。ここは良い訓練所だ。人からのリアルな殺気を浴びることができる。この場所では法があって無いような物だ。間違って入ってしまえば、殺されて金目の物はすべて取られる。もちろん内蔵などもとられる。油断などできない。横から上から下から後ろから……どの方向からでも襲われる。少しの油断ですら命取りだ。ここでは弱いものが死ぬ。それが、ここの掟でもある。


 そう、今こんな事を考えている間にも、数人に襲われていた。無論、殺したが。


「まったく、こんな奴がよくこの場所で今まで生き延びられたな」


 そう言いながら、刀についた血を拭う。そして、数体の死体から所持品などを全て奪い取った。さすがに内臓まではとらなかったが……。






 三時間ほど経っただろうか? ひたすら襲われてそして殺していった。所持品を取っている最中に襲われたときは、さすがにヒヤッとした。おかげで、完全とまでは言わずとも、感覚を取り戻せた。満足感を覚えつつ、僕は無法地帯を出ることにした。


 無法地帯から出ようとしたその時だった。聞き覚えのある声を聞いた。昨日、僕を襲ったRGの2人の声だ。僕は気付かれないように、なるだけ音をたてないよう、注意しながら近くまで移動した。


「あの大学への侵入はもう無理じゃねえか? きっと警備体制がさらに強化されてるぜ」


「だが、どうするんだよ。クフォルを手に入れられなかったら俺たち殺されるぞ」


 その後もぶつぶつと言っていたが、大した内容ではなかった。しかしその会話も、ある声によって終了された。


「貴様ら、RGだな? やっと見つけたぞ」


 女性の声だ。聞き覚えのある声……というより最近聞いたような……。まさか……昨日の少女か!?


「あぁ? なんだてめえ?」


「俺らに喧嘩売ってんのか? 殺してやろうか?」


 せっかく、面白い情報を話してくれてたのにな……。まあ、もう特に面白い情報は無さそうだったからいいけど。


(別に知らない中でも無いし、助けてやるか)


 そんな事を考えつつも、本心は昨日の復讐をしたい、刻んでやりたいと体が訴えていた。


「はーい、ストップストップ! 女性に手を出すとはなんたる外道、成敗してやるー」


 僕は、少女を守るようにRGの前に立つ。できるだけおどけた口調で、爽やかな笑顔を作りながら……。


「お前は……昨日の小僧!」


「昨日の糞ガキか! 昨日俺に殺されかけた癖にヒーロー気取りか。笑わせてくれるぜ」


 覚えてくれていたのか。凄く嬉しくないな。


「僕の事はどうでもいいだろ? さて、少し良いかな?」


 RGの連中を睨みつけながら、返事を待たず言う。


「今から選択肢をあげるよ。俺の刀の錆びになるか、今すぐここから立ち去るか……。さあ、選べ」


 昨日の事もあり、苛立ちを隠せていなかった。RG共は唾を飲み、緊張しているのが見て取れる。


「あれぇ? もう10秒も経っちゃった。選ばないなら苦しんでもらおうかな?」


 この時の僕は気付いていなかったが、かなり不気味な笑みを浮かべていたらしい。


「ひっ……!」


「な、何ビビってやがる! ほら、早くあいつを倒しに行けよ!」


 体格がでかい割りに、怯えた表情で体を震わすという光景はあまりにシュールで思わず笑ってしまった。


「ひぃっ! だ、誰か……か、神様あああああああああああ!!」


 思いっきり走り去っていった男。


「賢明な判断だね。さて、お前はどうする? まあ、味方を犠牲にしようとした奴に選択権なんてあるわけが無いんだけどね」


 そうして、RGの一人は逃げ去り、一人はこの場で命を散らした。


「さあ、君、行こうか」


 僕は唖然としている少女の手を引き、この場から去った。


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