表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Destiny Heart's  作者: harukana
第零章
1/4

beat1 : 侵入者

誤字、脱字、悪い点、感想お待ちしています。

「おい、レイ! お前、また新しい講義取ったんだって? ホント、お前って真面目だな」


 一週間程度しか無い夏休みが終えてから、数日経ったある日の事だった。この大学生活で数少ない友人と呼べる仲のトーマが、僕に話しかけてきた。


 僕らの通うこの国立シェリニカ大学は、医療の最高機関でもあり、世界中から一目置かれている。その為か多くの選択授業が存在している。そして今

回、僕は夏休み明けから始まる講義を取っていたのだ。


「人の命に関わる仕事に就くからね。出来るだけ、多くの知識が欲しいんだ」


「そっか、やっぱり真面目だよな。それじゃ、俺は今日の講義終わったから帰るわ」

 じゃあな、と言う別れの挨拶をすませ、僕は講義を受けるために場所を移動するのだった。







 講義室へ着くと、そこには数人の学生が待機していた。


(意外と少ないな。ってもこの時間帯だからか……)


 現在時刻は七時だ。この時間帯に講義を受ける学生は多くない。今の時間、大学内に残っている学生は研究室に入っている人ぐらいだろう。


 そんな事を考えつつ、僕は適当な位置に腰を下ろす。しばらくして、教授が入ってくる。軽い自己紹介と講義内容を説明し、講義が始まった。



 ………………



 …………



 ……



 講義を終える時間になると、教授は薬品の後片付けを僕に押し付け、去っていった。もう九時を過ぎており、辺りは暗闇に包まれていた。大学内の照明も消されており、研究室内の明かりがちらほら漏れているのみだった。


「あれ? この薬品どこにしまうんだ?」


 薬品が入ってる瓶には、薬品名と共にしまってある場所を示す番号が付いている。例えば、水の中に入れると急激に水温が下がるナキハウバという薬品には3h25といった数字が書かれている。これは第三薬品質hの25番に置いてますよといった具合だ。


 僕に渡されたこの薬品にはそれらしき番号が書かれていなかった。正確には古くなっている為文字が読めなくなっているのだ。


「まったく、こういう管理はちゃんとして欲しいものだね」


 僕は、そう愚痴りながら管理課までその薬品を持っていった。






 管理課の扉を開くと、割られている窓、そして倒れている管理人の人たち。


「なんだよ……これは……」


 僕はすぐに駆け寄り、倒れている人の手当てをする。簡単な診察だが、外傷は特になし。薬で眠らされている。薬の臭いから、推測すると副作用はあるものの、たいして重いものではなかった。


「一体誰が……?」


 管理課の中を見回してみると、警報のスイッチが切られていること、そして第四薬品室のマスターキーが無くなっている事に気付いた。マスターキーは普段使われることはない。侵入者が持ち去った可能性が高い。


 僕は、そう考えると、廊下を走り出した。






 第四薬品室前に着くと、中から話し声が聞こえた。


(やっぱり、ここにいるんだ)


 僕は、すぐさま教授から借りている鍵を使って、扉を開いた。


 僕の事を、結構信頼してくれている教授が貸してくれたものだ。まあ、普段はパシられるだけなのだが……。


「何だ!? 誰か来たぞ!」


「そんな馬鹿な!? まだ、そんなに時間経ってないはずなのに!」


 慌てている侵入者。薬品室は窓などが付いていない為、出入り口は一つのみ。今僕が、そこに立っているのだから、侵入者は袋の鼠状態だ。


「もう、逃げられないよ。 じきに警察もやってくる。大人しく投降した方が刑は軽くなるよ」


 口に出して、警察を呼ぶべきだったと後悔した。自分自身、慌てていたため警察を呼ぶなど頭から抜けていたのだ。


「「…………」」


 二人の侵入者の表情は、暗くて読み取ることは出来ない。しかし、僕の事を馬鹿にしているような気がする。いったい……。


「クックック」


「ガッハッハ」


 いきなり二人は笑い出した。


「何がおかしい?」


「まさか、お前のような小僧が俺たちを捕まえられるとでも?」


「だいたい、電話線は切ってあるんだよ。警察なんて呼べねえよ、バーカ」


 いまだに、下品に笑う二人の男。侵入者二人は想像以上に体格がが良いのだ。身長は恐らく190cmを超えているだろう。それに対して、僕の身長は163cmと小柄だ。さらに、相手は武装している。武器のない僕が、まともにやり合えば、恐らく勝ち目は無いだろう。あくまで、まともにやり合えばの話だが。少々、卑怯かもしれないが――


「うっ……!」


 男の急所を足で蹴り上げた後、体制が崩れたときにみぞうちへ頭突きをお見舞いした。これで、しばらくは動けないだろう。


「て、てめえ! 調子に乗りやがって!」


 味方を倒され、恐れを抱きつつも怒りに身を任せ殴りかかってくる。


「そんなの当たらないよっと」


 僕は、体を捻ったり屈んだりして殴りを避けていく。すると、なぜか敵の動きが止まる。


(何だ?)


 侵入者は僕と距離を置いた。そして、両手の手の平を僕に向けてきた。


(嫌な予感がする)


 そして――空気が変わった。力の流れを感じる。


「はぁぁぁぁあああああ!!」


 男が雄叫びをあげる。それと同時に男の体の周りが光りだす。その奇妙な光景を目の当たりにして僕は唖然としていた。すると男の手に野球ボールぐらいの大きさの朱い玉が現れた。その玉が男の手から離れこちらへ向かってくる。


(駄目だ! 避けられない)


 僕がぞう思ったときには玉は僕の腹部に直撃した。そのまま壁まで吹っ飛ばされる。痛みで頭が真っ白になる。


(久々だな……)


 回らない頭を必死で動かす。気づいたときには男は手に斧を持ち振り上げていた。僕は最後の抵抗をした。


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ……ッ!!」


とにかく叫んだ。思いっきり叫んだ。しかし、先ほど食らった腹部への強烈な痛みがまた僕を襲った。そして僕はそのまま痛みで意識が遠のいていくのを感じた。


(まったく、ごめんなミホ……)



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ