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それでも 朝は やってくる

翌朝の王宮は、朝から 大不穏でした。

静まり返った王子様専用の執務会議室は、一層の簡易地獄の様相を漂わせていました。


今日の理由はいわずもがな。

王子を除いて、全員寝不足。


だって~

大臣と愉快な仲間たちは、国王夫妻に呼び出されて、昨日の夜からお仕事続き。

「あの娘の身元と素性を押さえろ」とかなんとか 言われちゃってさ~

なんだかんだで、対策会議にお呼ばれされちゃって、みんなで仲良く徹夜コース

その後で、ワタワタ働いているうちに、王子んとこの定例会議になっちゃったんだもん。


事情は察しているものの、不機嫌丸出しの王子。

「(そんな顔しないでよ…)」

「(だいたい、王子が逃げられたのが悪いんじゃん。)」


そんなわけで、いまいち 覇気どころか生気のないぐったりとした会議室。


お騒がせなのは、

いまだに 嫁取りが済まずにズルズルきてしまった王子なのか

あせった末に暴走している国王夫妻なのか。


どっちもびみょーですけどね、

「(なんでもいいから、早く片付けたい)」

「(もー どうにでもなれ)」

大臣と愉快な仲間一同は 心の中で思いましたとさ。



本日の寝不足ご一行が、会議室をのろのろと出て行く姿を見送りながら 王子は思いました。


さすがに、今回の根源が自分にあるのは、分かってる。

むしろ、恥ずかしいくらい。

「(ったく、さっさと子離れしろよ)」

一晩会っただけで、口説き落として どうこうなろうなって、フツー無理があるだろ?仕事柄。

こんだけ派手に騒れた当人同士だっていい気持ちがしない。


そして思う。

「(国政任せるなら、人の駒を勝手に使うんじゃねぇ)」

一応、両親は 国の最高権力の象徴。横から別な仕事をばら撒いたら、配下一同は 引き受けるしかない。

「(片付くまで、俺自身が苦しいということだな)」

各分野の生産性を揺るがされる… 王子にとっては、痛い脅しだったわけで。

「(動くとするか…)」

王子は、ペンとメモを取ると サラサラと何かを書き… 傍にいた書記官へメモを渡しました

「該当者がいたら、教えてくれ」

書記官は、うなづくと 足早に担当の役人へとメモを渡しにいきました。


程なくして、該当者の名前と住所は報告が来ました。

「間違いないかと思われます」

厳かに告げる書記官に、王子が返します

「よし、父と母に知られる前に動く。」

下手に知れたら 超めんどくさくなりそうなのは、自明の理。

王子は、腕の立つ配下数名を連れて 現地にスタコラ 白馬で向かいましたとさ。



一方こちらは、娘の家。

昨日は 何とか タイムアップぎりぎりに家へ たどり着きました。

「帰りの道中で、マッパだけは回避できてホントよかった。」

家に着いて、部屋のベッドに倒れこんだ瞬間 魔法が解けたんだもん。

そのままの寝姿で目が覚めて、起きた時は 朝でした。


「夢といえば夢だけど、結構 リアルにいい夢だったな」

ちょっと素直じゃない王子様。たぶん、マジで一国を統制する王子様。

ムスッとした顔だったけど、緩むと 美男子だなって思った。

コケにして帰ってきちゃったけど、話す分には ぜんぜん いい奴だと思う。

ただちょっと、素直じゃなくて 無愛想なだけ。

「アレが売れ残りってんじゃ…相当 貴族のお嬢様方が 妄想のはけ口(恋愛)に過剰期待しすぎているのか、箱庭育ちなのね」

ちょっとだけ現実に染まってしまった娘は、「いい経験したなー」くらいな気持ちで 井戸へ向かうことにしました。

今日も、元気に働くために。







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