またやるらしいよ、晩餐会
そんなバックグラウンドがあるわけで 国王ご夫妻は、本気で心配していました、息子の縁談を。
国外から話がない訳じゃないんですが、どうも 息子は 不人気物件らしい。…親の欲目をもってしても もっと 高く売れてもいい気がするんだけどなあ? 旨味のない話ばかり来ます
「国内で募った方が 手取り早いかもなあ」
「貴方、ここは 合コンよ、合コン」
というご夫妻のご意向もある訳で 四半期に一回の晩餐会を 今回は 盛大に行うことにしました。
てゆーか、毎回 盛大なんだけどね?
「王家も懲りずに よくやるよね~ 嫁探し晩餐会」
そんな国民の声も聞こえちゃったりする、王城直下の城下町、街角の会話は 今日も 活気に溢れています
「何年連続で続いてるんだっけ? ここまで 続いてるとさ~
逆に『俺はモテないんです』って言ってるようなモンだよね~」
あっけらかんと笑い声を挙げたのは、冒頭でお話した 例の娘
町娘みたいな姿と口調ですが 元は、資金潤沢な商人系貴族の前妻の忘れ形見
「オジョウさんだって ホントは 行ってもいい身分なんだろ?」
油屋の親父さんがチャチャをいれる。一発逆転玉の輿のチャンスじゃないか、と 豪快な笑い声が響く
「いやよ、そーいう柄じゃないのよね~ 」
娘は 応じて軽く笑いました
「王子様とやらに 同情してるくらいよ? アタシ。
だって 見る人がみたら 売れ残りの特売品評会の万年『目玉商品』扱いでしょ?
そんなん扱い受けてる男に会いに行くなんて、気の毒だわ」
そりゃ 考えすぎだろうけど、と親父さんは また笑いました
そんな 褪めた国民がいる一方で その縁談にすがりたい国民もいるわけで。
娘が家に戻ると 「(いや、それは無理でしょう)」と言いたくなる風景が広がっていました
先程の娘の義理姉妹たちが お互いのコルセットを締め合っていました
顔は真っ赤になり、紐を引き上げる手は 赤を通り越して 白くなっています
「矯正下着を上手く活用すれば、見た目体重 5キロマイナスも夢じゃないわ」
頑張るのよ、と声を掛け合いながら 鼻息が荒くなっています
いやだなあ、こういう風景… 娘が思う矢先に
「なにも王子じゃなくてもいいから、イイ男的なものを 引っ掛けられれば ~ 」追い討ちをかけるかのような、継母の一言
現実って嫌ね~
それと、本番までに コルセットが壊れなきゃいいけど。
そんなことを思いながら、娘は 夕飯の支度をしようと 台所へ向かったのでしたとさ




