41
ドアの外が騒がしい。
そう思ったのも束の間、ノックもなしに扉が開かれた。
「ジュリア!!」
その声のする方に視線をやると、ツカツカと私の元へ歩いてくるクラウス様がいた。
思わず私はクラウス様に駆け寄った。
「・・・っクラウス様!!」
クラウス様の胸に飛び込んだ私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「お父様がっ・・・・!お母様がっ・・・・」
クラウス様のぬくもりに再び胸が締め付けられる。
「・・・分かっている。私のところにも知らせが来た。すまない。何もできなくて・・・」
その言葉に更に涙があふれてくる。
「っ・・・いいえっ・・・。私、どうすれば・・・!!」
「・・・ジュリア・・・」
そう呟くと、ギュッと私を抱きしめてくれていたクラウス様がそっと私の身体を離した。
「・・・クラウス様・・・?」
身体を離されたことにより、顔を上げると真剣な顔をしたクラウス様が私を見ていた。
「・・・ジュリア。今から私の言う事を聞いてくれるか?」
その言葉は真剣そのもので、これから語られる事がとても重要な事だと私にもわかった。
私は、涙をぬぐいしっかりとクラウス様に視線を返し頷いた。
「はい。取り乱して申し訳ありません。・・・私とリアーシャ様の事ですよね」
私がそういうとクラウス様は驚きに目を見開いた。
「・・・知っていたのか?」
「いいえ。先程まで全く存じ上げませんでした。ですが、父と母の知らせと一緒に私達の事も書かれておりました」
クラウス様は眉を寄せ頷いた。
「・・・そうか。ならば、全てをジュリアに話さなければならないな。本来ならば君に知られる事無くこの問題を片付けたかったのだが・・・・」
そういうと、クラウス様はそっと私の肩に手を置き、私を椅子に座らせ、クラウス様も私の向かい側へと座った。
時は遡る事18年前。
イングランシャ国の王妃が身ごもっている事が発覚した。
妊娠が発覚してからと言うもの、つわりが酷く部屋に籠る事が多かった。
王妃の傍に仕えていた私の母は、それを傍で支え続けていたそうだ。
が、王妃は安定期に入っても部屋から出ようとはせず、傍に母以外が近寄る事を拒否し始めた。
その頃、公爵夫人も同じ月出産の予定があると王の耳に入った。
ならばと、王は母に王宮の一室に留まる様に言いつけ、王妃の心の負担を少しでも共感し支えてやってほしいと、母も王宮で出産をする許しを得たと言う。
まもなく、王妃様は女の子を産んだ。それが、リアーシャ様だ。
そして、2日後、私の母も王宮の一室で私を生んだ。
それが、表向きに伝えられている話だと、クラウス様は言った。