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王妃の秘密  作者: 睦月
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38

「ジュリア!!」


彼の声で私は目を覚ました。


「・・・・クラウス様?」


目を開けた先には扉を開きこちらに向かってくるクラウス様の姿が目に入った。


「ジュリア。倒れたと聞いたが、大丈夫か?」


傍まで来ると、クラウス様は私の頬に手を添えた。


「申し訳ありません。お忙しい所わざわざ足を運んで頂いて・・・・」


身体を起こそうとするが、クラウス様がそれを阻んだ。


「いい。寝ていろ。どうした?一体何があったのだ?」


クラウス様の冷たい手が、とても気持ちよかった。


「夢を・・・。夢を見るのです」


「夢?例のリアーシャの夢というやつか?」


「はい。リアーシャさまが・・・・・っ。・・・トレース陛下に・・・!!」


思い出すだけでも辛い。


「トレースに?・・・・・・」


見た夢の内容をクラウス様に話すと、クラウス様は難しい顔をして黙り込んだ。


「・・・・クラウス様・・・?」


私の声に、クラウス様はハッとすると、取りつくろうかのように笑顔を見せた。


「・・・心配するな。リアーシャの事は私が調べよう。だから、ジュリアは心配をしなくてもいい」


そういうとクラウス様は頬にキスを落とし部屋を後にした。

突然の事に、頬に手を当てて驚いたものの、クラウス様は何かをご存知の様だった。

一体、リアーシャ様に何が起こっているのだろうか?

・・・・この胸騒ぎは一体何なのだろう。


「何事もなければいいのだけれど・・・・・」


クラウス様が出て行った扉をじっと見つめながら、私は溜息をついた。









**************************************



倒れた日から数日、相変わらず夢を見る。

だが、最近少し様子がおかしい。


「ジュリア様、お水をお持ちいたしました」


ソファに腰掛け窓の外を眺めていた私に、エリーナが水差しを持ってきてテーブルの上に置いた。


「・・・・ありがとう。一口頂くわ」


そういうと、エリーナはコップに水を注ぐ。


「・・・・ねぇ、エリーナ貴方は何かしらない?」


エリーナが水を入れたコップをテーブルに置くのと同時に私は窓から目をそらし、エリーナを見た。

エリーナは気まずそうに眼を伏せて首を振る。


「・・・・申し訳ございません・・・・」


その答えは一体何度目だろう。

再び窓の外に目を向ければ、小鳥がすぐそばの木にとまった。

私が倒れて以来、クラウス様は夫婦の寝室に戻ってこなくなった。

もちろん、お茶の時間もない。

すべて、仕事が忙しいと断られていた。

リアーシャ様の事について聞きたい事もたくさんある。

何よりも、クラウス様が何を隠しているのかとても気になっていた。


「謝る必要はないわ。私の方こそごめんなさい。毎日同じことをきいたりして・・・・」


エリーナを見てふっと笑う。

彼女はいつも私の為に、最善をつくしてくれる。そんな彼女に心配をこれ以上かけるわけにはいかない。

そんな私をみて、エリーナは慌てて声をかけた。


「じゅ、ジュリア様!!そういえば、公爵様よりお手紙が届いておりました!」


エプロンのポケットより、侯爵家の印が刻まれた封筒が出てきた。


「そういえば、手紙を出していたわね。すっかり忘れていたわ」


エリーナよりその手紙を受け取ると、封を開けた。

すると、そこから出てきた手紙には王家の印が入った紙が目に入った。


「・・・エリーナ。これは確かに公爵家からの手紙?」


思わず、エリーナに確認した。


「え?・・・えぇ、確かに公爵家の使者より預かったと私も伺っておりますが・・・」


「・・・・そう・・・・・」


ジュリアは、王家の印が入った手紙に再び視線を落とした。

手紙は全部で2枚。

ごく普通の量だろう。

だがしかし、公爵家の封筒になぜ王家の印の入った手紙がはいっているのか・・・。

嫌な予感しかしないながら、手紙を読んだ。


「・・・・・ジュリア様?」


読み進めるうちに私の表情が変わるのが自分でもわかる。

そんな私に気付いたエリーナが声をかけてくるが、一通り読み進める私は返事をしなかった。

・・・・否、出来る余裕がなかった。


「・・・・そんなっ・・・・・」


全てに目を通した私は思わず、片手で口元を覆った。


「ジュリア様!?一体なんと書かれていたのです!?」


エリーナは私の目に浮かぶ涙を見てことさら慌てだした。


「・・・・お父様が・・・・お母様が・・・・・」


言葉が出ない。

私の手からするりと手紙が落ちた。


「・・・っ!!失礼致します!!」


エリーナは私の行動をみて、その手紙を拾って読み始めた。

私はあまりの内容に、涙が止まらない。


「・・・そんなっ!!公爵様と奥様が牢に!?死刑!?」


その言葉に私は、思わず声を上げた。


「うそよ!!そんなの何かの間違いだわ!!」


遠く離れた祖国の父と母がまさかそんな事になっているなど思いもよらなかった私は、その驚愕の内容に意識を飛ばした。



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