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王妃の秘密  作者: 睦月
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少し短めです・・・。

手元にはエリーナが用意してくれたペンと紙があった。


「せっかく用意してくれたのに、ごめんなさいね・・・」


今朝、クラウス様に言われた通り、リアーシャ様に手紙を書くのはやめることにした。

だが、せっかく用意してくれたモノを突き返す訳にもいかず、現在も私の手元にそのまま置いてあった。


「いいえ、そう言ったご事情がおありでしたら仕方ありません。代わりといっては何ですが、ジュリア様。ご両親に手紙をお書きになってはいかがですか?」


エリーナの言葉に思わず問い返してしまった。


「父と母に??」


「ええ、久しくご連絡をとっていらっしゃらないのではないのですか?」


エリーナにそう言われて、そういえばと気づいた。

ここ最近、色々と自分の事で手がいっぱいで両親に連絡をしていなかった。


「・・・そうね。そうするわ。お父様もお母様もお元気かしら」


手元にあった紙とペンに手をかけるとエリーナもにこりと笑顔でうなづいていた。




*********************************


両親に手紙を出してから数日。

それからもたびたび見る夢は徐々に悪化していた。


「ジュリア様。大丈夫ですか!?」


ふと、立ちくらみがしてソファに倒れ込んだ私に駆け寄ったのはエリーナだった。


「・・・・えぇ・・・・。大丈夫・・・・」


「嘘おっしゃらないで下さい!!全く大丈夫ではありませんわ!ここ最近全く睡眠を取られていないのではないですか!?」


私を支えてくれながらエリーナは傍で怒鳴り続けた。


「・・・エリーナ・・・お願い。あまり大きな声を出さないで・・・」


立ちくらみのあった後にその様に大声で叫ばれるとさすがに辛い。


「も、申し訳ありません!!・・・ジュリア様、今、お医者様を呼びますから、とにかくベットへ」


そう言って、エリーナに支えられながらベットに横になった事で少し身体が楽になった。

私をベットへと運ぶ事で安心したのか、エリーナはほっと息を着くとすぐさま医者を呼びに部屋を後にした。

一人残された部屋の天井を見つめていると、今朝みた夢を思い出した。










今朝は、リアーシャ様がソファに伏せって泣いていた。

悲しい。辛い。どうにも出来ない歯がゆさ。そんな思いを抱いて。

伏せっている私(リアーシャ様)の後ろから音もなく扉が開き、低く冷たい声が聞こえた。


「・・・・今更泣いた所で何になる。お前が呼んだ災いだろう」


その声に私は思い切り肩を震わせた。

そして、叫んだ。


「いやっ!!来ないで!!あっちへいって!!」


ソファに伏せっていた身体を起こし、必死でその人物から逃げる。

だけど、その人物は嘲笑うかの様に私を見下ろしていた。


「今更誰も助けになど来ない。諦めろ」


そういうと男は私の肩をつかみ、いつの間にかあったベットへと身を投げ出された。

そして、その男が私に覆いかぶさってきたのだ。

叫ぶ私に、男は冷たく笑いながら、私の首筋へと顔を埋めた。








そこで、私は目が覚めた。

・・・いや、無理やり覚醒したのかもしれない・・・・。


「・・いやっ・・・・・」


天井の模様から目を反らすかのように私は首を横に振る。

だけど、見た夢の記憶は消えてくれない。


「リアーシャ様っ・・・・!」


一体、自分の身に・・・リアーシャ様の身に何が起こっているのか。

どうして、私がこの様な夢を見なければいけないのか。

浮かんでくる思いは涙となってそれを流す。

嫌な思いを忘れようとするかのように、私の意識は暗闇へと沈んだ。



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