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王妃の秘密  作者: 睦月
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20

少し短いです。


部屋に入って早々に今度はノックの音が聞こえてきた。


「まぁ?誰でしょう?こんな時に・・・」


エリーナは私を心配そうに見ながらもノックが聞こえた扉の方へと歩いていった。

心配されるくらい私の顔はひどい事になっているんだろう。

だけど・・・・・。


「・・・・っ困ります!!」


ふと、エリーナが扉の側で怒鳴っているのが聞こえた。

かと思うと扉から入ってくる人影が見えた。


「ジュリア殿!!」


その声に、その姿に驚いた。

そこに居たのは・・・・・、


「トレース陛下!!いくら陛下といえどもここは王妃の自室でございます!!クラウス国王様以外での入室は許されておりません!!」


慌ててエリーナがトレース陛下の後を怒鳴りながら追ってきた。


「ト、トレース陛下・・・?」


トレース陛下はエリーナの言葉を無視して、私の前で膝まづいた。


「ジュリア殿。この度は大変なことになりましたね。あなたの事が心配で居てもたっても居られずついついここまで来てしまいました」


そう言って私の手をとるトレース陛下。

私は、ここにトレース陛下が居ることに驚きすぎて何もできなった。


「ト、トレース陛下!!いい加減になさってください!!もうっ!!埒が明かないわ!誰か!クラウス国王様をお呼びして!!」


「ジュリア殿・・・・。こんなに目を赤くして・・・・」


そう言って伸びて来た手にハッとして、私は後ずさった。

それに気付いたトレース陛下は伸ばしていた手を下ろした。


「・・・そんな風に避けられてしまったら、傷つきます。・・・・あぁ、あなたがクラウスのものでなければ、この手であなたを抱きしめられたのに」


そう言って、悲しそうな顔をするトレース陛下は下げた手をぎゅっと握った。


「ト、トレース陛下。な、なぜここへ?エリーナが申し上げた通りここへはクラウス様以外の男性の方の入室は固く禁じられております。ど、どうぞ、お引き取り下さいませ」


私のすぐそばには、猫が逆毛を立てるかのようにエリーナがトレース陛下を睨んでいた。

エリーナの言うとおり私からも、はっきりと陛下に引き取ってもらう旨を伝えた。

それなのに、陛下はなんてことないように笑った。


「ふっ・・・。あなたは、騙されているのですよ?クラウスに」


「騙されている・・・?意味がわかりませんわ。クラウス様が何を騙しているというのです!?」


先程までのトレース陛下とは打って変わって、挑戦的な笑みでクラウス様の事を言われ思わずカッとなって言い返してしまった。


「・・・・それは、私の口から言うことではないでしょう。・・・・あなたが、この国を出ていきたいと思った時、私はいつでもあなたをお迎えしますよ」


そういうとトレース陛下はにっこり笑って私を見下ろした。

トレース陛下の言っている意味がわからない。


「いい加減になさってください!トレース陛下。いくら陛下といえども、ここは他国の王妃の私室です。ここに居らっしゃることは許される事ではありません。今すぐこの部屋から出て行って下さい!」


横からエリーナがもう我慢できないとばかりに口をはさんできた。

だが、トレース陛下はエリーナの言葉など聞こえていない様に、私の顔を探るように見ていた。

そうして、ふぅっとため息をついたかと思うと今までの雰囲気が和らいだかのようにトレース陛下が口を開いた。


「・・・・申し訳ない。つい、君の親友が怪我をしたと聞いて君が心配で駆けつけてしまった。私とした事が感情に流されてしまった様だ。クラウスにもきちんと謝罪しておくよ。申し訳なかったね」


本当に申し訳なさそうに頭を下げると、トレース陛下は部屋を後にした。


「・・・・はぁ~・・・・・・・」


緊張していたからだから力が抜け自然とため息が零れた。


「一体、なんだったの・・・・?」


トレース陛下のおっしゃっていた事ってどういう事なんだろう。


「全くですわ!まさか、あのお方がこんな非常識な事をされるなんて!!」


エリーナは私のつぶやきにぷりぷりと怒りながら返事を返してきた。

もちろん、私の言った意味とは違う意味で私の言葉を受け取っていたようだけれど。


「とにかく!あの方は二度とここに来られない様しっかりと国王様にお願いしなければいけませんわ!そういえば、国王様を呼びに行かせたはずなのに、他の者は何をやっているのでしょうね?もうっ!私ちょっと見て参ります!!」


エリーナは相当怒っているのだろう。

私の返事もきかずにずんずんと部屋を後にした。


「・・・・騙す・・・・って」


ぽつりとつぶやいた言葉に自分の今までの事を思い出した。

リアーシャ様の真似をして彼を騙していた事。

だけど、トレース陛下の言う様に彼も私を騙している事が・・・?

そんな考えを振り払うように首を振ってみても、トレース陛下の言っていた言葉がなぜか心に深く引っ掛かっていた。


「・・・・一体、何を騙すと言うのかしら・・。私を騙したところでクラウス様が得るものなんてないはずよ・・・・」


自分に言い聞かせるように言葉を紡ぎだしても、心に引っかかったそれはどうしても消えてくれなかった。






ご覧頂いてありがとうございます!


最近は忙しくなかなかアップ出来ないうえ、行き詰っております(T_T)

のろのろと亀更新になると思いますが、長い目で見て頂けるとありがたいです。


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