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第八話 帰宅。

 空と地の境目の小高い丘の上に、龍神信者の見慣れた街並みが姿を表す。地平線までの距離は約四キロメートルであり、ネイドは一般の馬よりも足が速いので……常歩なみあしでもあと一時間もかからず着くだろう。ただ、おおよそ一年半が経過しているのに対して感慨深さはなかった。


 街についたときはまだ夜明けまで一時間前程のことだった。流石に街の中に魔物であるネイドを入れるわけにはいかないので、ネイドだけ外に待機させる。放さないのは、もしかしたら仕えていた教会で自分が既に亡くなった人だとされ、辞めさせられているからかもしれなかったからだ。この可能性は、この街に向かう道で気がついた。


 破門になってたらこれまでの移動の手間が無駄になるから嫌だな、とかそんなことを考えながら龍神信者は教会に足を進める。そして教会の扉の前にたち、ドアノブに手をかけようとしたところで……。


 ガチャリと扉が空いた。その先には……。


「……あぁ、誰かと思ったら……遅かったじゃないか。今から悪魔をぶちのめしに行くんだが、本職のお前が来たなら話が早いな。ほら、ここの……」


 神父ファーザーが気だるげな表情で出てきた。世界が復活してから半年近く姿を見せていなかった龍神信者の姿を見ても大して驚きはせず、ただ淡々と悪魔のいる場所を地図で示しメイスを渡すと、早々に教会に引っ込んでしまった。


 龍神信者は流れに流され説明をききメイスを受け取った。その後、少したってから頭の中に疑問符が浮かんだが、とりあえずと示された場所に向かった。


――――――――


 悪魔を討伐して帰ってきた頃にはもう日は明けていた。世界が滅亡する前と同じように、龍神信者は扉を開けて教会の中に入る。……いつもとちがうのは、顔を隠す布巾がないから手で顔を隠していることだろうか?


 見慣れた景色だった。白塗りの壁にランプがかかり、奥の両サイドには木製の古びた長椅子が置かれている。手前の左側には扉があって、そこから生活区域に行ける。見飽きてしまうほど、それこそ十何年もここで暮らしていたのだ。しかしなぜか、今はその景色にひどく安心感を覚えていた。


(……俺も案外この教会が好きだったのかもな)


 修道女シスタ神父ファーザーの挨拶をなあなあに返し、龍神信者は自室に向かった。ドアを開けてもやはりそこは、自分が過ごしていたときの最後の状態そのままで……ベットに腰掛け寝転んだ。白塗りの天井を見つめながら龍神信者は思案に耽っていた。


 心に湧き上がっている感情の名前を、彼は知らなかった。

Q.教会で破門になったら同じ宗教の教会も出禁になるのでは?

A.龍神信者の教会が属する宗教は教会がそれぞれ結構独立しててもはや別の宗派的な感じなので、破門になっても「あ、あそこの教会出禁になったん? 災難だったな〜うちの教会こいよ」みたいなかんじですね。流行りの宗派的なのもあるかと。


 そんなやって神は怒んないの? となるかもしれませんが、むしろ神のほうが独立を促してるまであります。ならその神って何なんだよ、ということなのですが、この世界では非常に強い力を持った人間を指すことが多いですね。イメージは生き神です。


 信条である「人は皆自由であり、何物にも縛られない。」という考えさえ守っていればあとは好きにできます。ただこの世界貴族とか王族とか奴隷とかあるので一部地域では邪教扱いされてます。なんならこの宗教が一揆的なものを引き起こしたこともある。

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