表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

第四話 代償を支払え。

 世界の核というのは、その名の通り世界の中心となるものである。


 実態は無いとされ、簡単に言えばエネルギーの集合体のようなものらしい。内包するエネルギーは無限とも言われている。この遺跡では、世界の核から漏れ出たエネルギーをある点に溜め、発動する際にそこから代償を支払っているらしいのだ。ちなみにこの漏れ出たエネルギーを遺跡内から集めるのが上の階の役割らしく、階段の前にあった円形のものがエネルギーを貯める場所だったらしい。


 実に良い設計だと龍神信者は思った。ただ、これには一つ欠点がある。


 それは直ぐにエネルギーがたまらない事、要は時間が必要なのだ。なんせ、世界の核に内包されているエネルギーを直接取り出すことは不可能とされている。そのため漏れ出すエネルギーしか溜められない訳だが、それも多いとは言えないのだ。


 滅亡前に溜められていたエネルギーを使えばわざわざ待つ必要はなかったのだろうが、そのエネルギーは龍神が半分ほど喰ってしまった。もっとも、世界が滅亡してから半年は経っているのでそこそこ溜まってはいるがそれでも龍神召喚までは至らない。


(しかも、あの擦り切れて消えていたのは……)


 そう、長いの月日は呪紋を擦り切れさせ、エネルギーを溜める役割のある上階と対象を召喚させる下階の接続が切れているのだ。これでは呪紋は発動させることが出来ない!


「え〜、つまり俺はエネルギーが溜まるのを待つ間に接続を復活させ、龍神様の事をこれに呪文文字で書かなければならないと?」


 龍神信者は隅に積み上げられた、名称を書くタイル(はめる前)を眺めながらそう言った。


 龍神信者は正直なところ心が折れそうになっていた。呪文文字に限らない話であるが、言語というのは大抵自分から何か文を作る方が読む方より遥かに難しいのだ。しかしここで折れては龍神に喰われるという願いは叶わぬものとなる。龍神信者は龍神への想い、それだけで上記の難題を解決させてみせると決意した───✧


 結論から言うと、龍神については割とすぐ書くことが出来た。そのタネというのが、なんと龍神信者の愛読書に呪文文字で龍神が書かれていたのだ。しかも龍神信者は当然の如くそれを覚えていた。書けない方がおかしい。


 一番苦労したのは接続を戻すことだった。はじめは通路に書いてある呪紋を写せばいいと思っていたのだが、よくよく見てみると、接続箇所の呪紋は通路のものとは違っていた。そこから難儀だった。しばらく遺跡内をウロウロと徘徊することになったし、気晴らしにネイドを伴って外に出て殺風景な景色を眺めたりもした。通路でスライムに足をとられ転んで全身がスライムまみれにもなった。


 結局、通路の呪紋は全て繰り返しではなく、一部は複数の呪紋をつなぐ役割を担っている呪紋であることが判明し、その部分を擦り切れた部分に照らし合わせてみると、薄らと残っている部分や長さが一致した。それを空白部分に記入するとにわかに呪文が光を放ち始めた。その頃には、解析が終わって復元を始めた頃から二ヶ月ほど経っていた。

 龍神信者の愛読書に呪文文字で龍神について書かれていた理由は、過去に呪文で龍神をこの世界に呼び出したことがあり、その呪文についての記述があったからです。


 この愛読書というのは大昔の歴史書です。龍神信者が龍神の存在を知ったのもこの歴史書です。


 世界のエネルギーは空間中に不特定の点から漏れてます。イメージは加湿器。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ