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第二話 魔物を使った移動手段。

「しかし、その呪文は一体どんなものなんだ……」


 世界が龍神に喰われる前に、ある程度調べてはいたそうなのだが、それでも呪文そのものの情報は手に入らなかったそうで、龍神信者は頭を抱えていた。


 しかしながら、その呪文が書かれている遺跡の名称や位置は把握していた。太陽や時間という概念は龍神に喰われていなかったので、どの方向に向かえばいいのかというのは分かるが……。


(遠い……)


 歩いて数ヶ月後、下手したら年はかかる位置にその遺跡はあるのだ。とても龍神信者の足だけでは辿り着けない。辿り着けたとしても、それはまだ初めの一歩にしか過ぎないのだ。


「何か移動手段が欲しいな」


 龍神信者は住処にしている洞の中で唸った。ちなみに、普通の家はすべからく龍神に喰われてしまったのでどこにもないのである。(龍神信者を除いた)人もまたそうだ。


 何か洞の外にいい物は無いだろうか、と少し顔を覗かせて外の様子を眺める。今は秋だろうに彩りも何も無い荒野だった。外は魔物が普段から蔓延っているのでおちおちと姿を出していたらぱっくりやられてしまう。龍神の手によって葬られたい龍神信者にとってそれは最も避けたいことであった。


 めぼしいものがパッと見無さそうだったので一旦洞の中に戻ることにした。


(魔物……?)


 龍神信者は、魔物には人懐っこく、足が早く、また体力もあるため、長距離間の移動に適している種がいると聞いたことがある。確か四足歩行で中毛が生えていて、大きさも馬かそれより一回り大きい程度とのことらしい。名前は確か、ネイドとか言ったか。


 もう一度外を見てみれば、いた。一匹だけでそこに佇んでいた。他の仲間は元からいないのだろうか、寂しがっている様子もない。そもそも魔物に寂しいとかいう感情があるのか怪しいが。


 龍神信者は体に纏わせていた装飾品であるベルトと謎の金属の輪を取り、簡単なくつわと手綱を作成し、他の魔物に見つからないよう息を潜めながらネイドにじりじりと近付いていった。


※以下は龍神信者の音声とその補足のみでお楽しみ下さい※


「暴れんなこの[自主規制]が!!!!!!!」

「人懐っこいってのは迷信だったのか!? それとも俺が悪いのか!?」(そう)

「ほら他の魔物が寄ってきただろうが」(半分くらい龍神信者のせい)

「噛め轡を!!! 拒否んな!!!」

「違う止まるんじゃない進むんだよ」

「道草を食うな」

「だから止まるんじゃないっつったろ!」

「吐きそう」(乗り物酔い)

「クソが!!!!!!!!!!!!」


※     ※


 なんやかんやあって龍神信者はネイドを躾ける事に成功した、その顔はげっそりしている。喉もかなり痛めたそうだ。ただ案外重い怪我はしていない。


「(何かしたらその瞬間に馬刺しにしてやるからな)」


 龍神信者はそうネイドに言ったつもりだったのだが、喉を痛めたので空気が通るかぼそい音しかしなかった。

 龍神信者は世界滅亡前は悪魔祓いエクソシストとして教会で働いていたらしいです。ちなみにこの世界の悪魔はバリバリ実態あるので、悪魔祓いのやり方は鈍器で悪魔がヘタるまで殴るというものです。蛮族!


 龍神信者の住んでいる地域では肉を生食する文化はありますがあまり一般的ではありません。龍神信者は好きみたいですが。

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