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The Chess  作者: 今日のジャム
Ⅶ 白の城
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Ⅶ 白の城 1. 凱旋 2

 古の黒騎士ライよ

 かの騎士は王と共に戦い

 仲間のいない孤独に打ち勝った


 誉高き騎士よ

 伝説の黒騎士ライも称賛するであろう



 王城への街道は凱歌を歌う人で溢れていた。プロミーはロッドと共に王都シエララントへの道を進んでいた。辺りはまだ町外れの野原だったが、ロッドの凱旋を知った王都の人々が街道に沿って勝者の騎士を出迎えていた。白い花が舞い、歌が一体となって地に響く。高揚と恍惚が風に流れる。プロミーは歌に包まれながら、このような光景に覚えがあるような気がした。とても昔、大切な人が隣に影のように付き添っていて、町の人の喜色に顔を綻ばせていたような。


 王都に入り、トランペットのファンファーレが旅人たちを出迎えた。ロッドはその歓迎を慣れたように堂々と馬を進め、プロミーは添うように小鹿を歩ませた。鼓笛隊はロッドの前に陣取り、ゆるやかに祝いの主人を先導した。空には光の伝書鳩たちがその景色を西大陸中に伝えるべく飛び回っていた。


 パレードがゆっくり王城に近付いた。町の人たちは城門の前で立ち止まり、トランペットが再び騎士の帰還をファンファーレで見送った。


 城門では、青い僧服の青年が一人待っていた。


「お久しぶりです、ロッド。王城へお帰りなさい」


 ロッドは愛馬から降り、僧侶の青い猫のような眼を見た。僧侶はにこりと微笑んだ。


「城を空けたな、マーブル」


 ロッドは笑った。それからプロミーに向き直り、僧侶を紹介した。


「プロミー、この青年は白のビショップだ。私との付き合いも長い」


 プロミーはこの僧侶の顔にくまが出来ているのが気になった。プロミーは僧侶に一礼した。


「初めまして、プロミーさん。僕は白の闇の僧侶マーブルです。団体馬上試合は最高でしたよ、ロッド。王城にはポーンの人たちも皆さん集まっていますので、そこまで一緒に行きます」


「ラベルは城にいるだろうか? マーブル」


 ロッドは僧侶に尋ねた。マーブルは首を横に振った。


「ラベルさんは王城の中にはいません。今、赤のポーンの騎士がこれからこの城に向かっているということなので、城の外で守っている所です。夜になれば王城に帰ってくるので、その時に会えると思いますよ」


 ロッドは頷いた。


「うむ、分かった」


 僧侶マーブルの案内でロッドとプロミーは王城に入った。


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