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The Chess  作者: 今日のジャム
Ⅲ 約束の子
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Ⅲ約束の子 3. 領主の城3

 話が終わると辺りでは拍手が起こった。吟遊詩人は深く頭を下げて礼を言った。


「ありがとうございます、プロミーさん。これからも宜しくお願いします」


 プロミーは詩人の眼が何か知っているように感じた。


「あなたはどこから来たのですか?」


 吟遊詩人は嘯いた。


「私ですかい? 私は西大陸から遠い所から来ましたよ。……そうですね、遠い昔変わった人と旅をしていたことがありましてね。多分、プロミーさんにも心当たりがあるんだと思いますがね。その人がどうなったか知りたいんでさ」


 詩人は不思議なことを言った。しかしそれ以上は語らなかった。


「では、私から一つ詩を歌って差し上げましょう」


 吟遊詩人はリュートを鳴らした。



「白の王さまがアリスを喚びました。

 夏のある日のチェスのことです。


 ナイトがアリスを見つけました。

 古く涼しい森の中で。


 アリスは騎士と旅をしました。

 騎士の奏でる軽快な音楽と共に。


 アリスと騎士は一緒に戦い、

 一緒に寝食を共にしました。



 アリスと騎士は恋仲になりました。

 とても清い約束を守って。


 騎士とアリスは赤の王城へ行きました。

 剣を振るう戦いの中で。


 白の王さまは目覚めました。

 王手詰みをかけた所で。


 するとアリスは消えてしまいました。



 騎士は寂しく思いました。

 夜の長い秋の始まりに。


 騎士は胸の内を音楽で表しました。

 月が見える窓辺のそばで。


 すると騎士の館にアリスが訪れました。

 白い顔に頬を染めて。


 アリスは言いました。

 これからは夜に私は訪いますと。



 騎士は喜びアリスを迎えました。

 私はあなたに会いたかったと。


 騎士は昼に眠り夜をアリスと過ごすようになりましたとさ」



「これは幸せになった歌なのですか?」


 プロミーは複雑な気持ちで吟遊詩人に質問をした。


「さて、どうでしょうね。周りの人はせっかくの勇敢な騎士が活躍できなくなったと嘆いたでしょう。アリスの恋は悲恋に終わることを歌った歌だとも申します」


「そうですか……。詩をありがとうございました」


 プロミーは詩人に礼をした。


 その後ロッドとプロミーは城に宿泊し、夜を明かした。


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