表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The Chess  作者: 今日のジャム
Ⅺ 女王の昔話
206/259

Ⅺ 女王の昔話 7. 王さまと半獣の血を引く王女 6

 プロミーとラベルは静かに森を渡っていた。その先には、長い旅の最終目的地が待っていた。


 森の道は夏の午後には珍しく、うっすらと霧がかっていた。淡い霧は先へ行けば行くほどに、深く濃くなっていった。


「ここら辺のはずなのですが……」


 プロミーの前をゆっくり先に進んでいたラベルは、森を抜けたとき、そこに現れた風景に素早く馬の足を止めさせた。


 そこにあるはずの、白のポーンたちの待ち合わせの草原はなかった。


 そこには、白い霧におおわれた静かな湖が広がっていた。厚い霧の向こうには、黒っぽい城の影が見え隠れしていた。


 辺りは時が止まったように、ひっそりしていた。鳥の鳴き声も、獣の気配もしなかった。


「……ここは、どこでしょう」


 プロミーは立ち止まると、落ち着いて湖を見渡した。その声は、凛としていた。ラベルは首を横に振った。


 小船が一艘、霧の彼方からたゆたいながら岸辺に流れついた。無人の小船は、二人を誘うように、水草の茂みの中で、ゆらゆらと足を止めていた。


 後ろで草が風に揺れるような音がした。それは、空間が揺れた音だった。振り向くと、プロミーとラベルの前に、樫の木の杖を手にした緑衣の人が現れた。


 リアはプロミーに敬意のこもった礼をした。


「リン・アーデンの名代でお迎えにあがりました。青年王アーサ様」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ