Ⅸ-ii 白の王さま (8月9日~8月12日) 4. 通告 3
128 8/11 21:05
<To> らすこ
<Title> Not Title
らすこに連絡が遅くなったけど、昨日今日で色々あったんだ。
白の王様が分かったよ。私の妹の生穂だったんだ。
“The Chess”の交流サイトで、生穂が赤のポーンの人に嫌がらせのメッセージを受けていて、それの相談を私が受けたんだ。それは無事相手のアカウントの凍結という結果になったけどね。昨日はこの問題を白のクロスの読者に交流サイトで相談したら、皆で大図書館で会うことになったんだ。クイーン、ルーク二人、ビショップ二人、ポーン四人が集まっていたよ。
赤のキングの方はまだ分からないよ。手がかりが何にもないしね。
らすこは昼ボラの調子はどう?
真は夜の私室で、壁に背を預けてベッドに腰掛けながららすこにメールを打った。老猫ガンダルヴァは一階に行っていた。返信はすぐに返ってきた。
128 8/11 21:15
<From> らすこ
<Title> Re:
交流サイトの共有掲示板は見ていたよ。あれ、しぃさんだったんだね。
昨日は大図書館のボランティアがあったし、その後も用事があったので、連絡を貰っても行けなかったと思うから、大丈夫だよ。問題は解決したようで良かったね。
夏休みの間は、ボランティアをやったり、本を探したりしているよ。ボランティアは順調で、係りの司書の人たちとも仲良くさせて貰っているよ。私がこの大図書館に就職希望だと伝えているんだけど、皆さん未来の後輩のように扱ってくれるよ。
ボランティアは昼からなので、朝と夕方は大図書館で本を探しているよ。そこでちょっと気になることがあったけど、それはまた夏休み明けにでも話すよ……。
今夜も生穂の帰宅は十時を過ぎていた。生穂が自分の部屋へ入り帰宅後の片付けを済ませると、真の部屋へ入った。老猫も生穂に付き添っていた。
「お姉ちゃん、ありがとう。あの気味の悪いメッセージが見えなくなったよ」
真は笑顔で答えた。
「手を貸してくれた人たちには、お礼をしておいたよ」
「ありがとう。これでプロミーの物語の続きを安心して読めるよ。お姉ちゃんが白のクロスを持つ人で本当に良かった」
「良かったね」
生穂は素直に頷くと部屋を出た。真はすでに主人公の物語が届かない“The Chess”を思い出した。生穂の後姿がプロミーに重なった。